「ドキュメンタリー? 映画の精霊たちを召喚して可哀そうなビデオたちを救出するお話」キムズビデオ Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリー? 映画の精霊たちを召喚して可哀そうなビデオたちを救出するお話
ドキュメンタリーの業界には「作り手側がこれはドキュメンタリーであると言えば、それはドキュメンタリーである」という格言があるそうです(この格言の存在の虚実も曖昧ですが)。
かつてマニアの殿堂だったアメリカ•ニューヨークのレンタルビデオショップ「キムズビデオ」。2008年に閉店となったその店の約55,000本ものビデオソフトは遠くイタリア•シチリア島のとある村に保管してあったそうです。しかし、管理が杜撰でそれを憂えたマニアたちがその可哀そうなビデオソフトたちを取り戻そうと奮闘します。ヒチコックやらゴダールやらジャッキー•チェンやらの映画界の「精霊」たちのお面をした人々がわらわらと集まってきて倉庫にあるビデオを箱詰めしてコンテナに積んでゆきます。現地側の有力者なども登場します。まあこの辺は「再現フィルム」っぽいのかなとは思いました。そこはそれ、そんな野暮なことは言わずに精霊たちのビデオ救出劇を楽しむことといたしましょう。
実際には、密輸でもしない限り、イタリア-アメリカ間の国際貿易ですから、やたら交渉ごとが多くて山のようなペーパーが必要ではないかと思います。そもそも、最初にアメリカからイタリアに「輸出」したときに「販売」という形をとったかどうかが定かではありませんのでよくわかりませんが、「原産国アメリカ合衆国」のものをまたアメリカに「輸入」するわけですから、通関書類を準備するだけでややこしそうです。通関がこれからということなら、EU -USA間の「トランプ関税」の摘要を受けるので輸入通関時のビデオソフトの申告額をどうするかという問題もあります。
まあマジメに考えると、輸送費、輸入諸掛り等の費用とかなりの労力を使って、可哀そうなビデオたちを引き戻すというのは「本当にご苦労様でございます」レベルの仕事だと思います。真相はよくわかりませんが、たぶん、マニアの皆さまはまだ「夢の途中」で可哀そうなビデオたちはまだEU圏内の少しはマシな倉庫に保管されており、この映画の収益で次の展開を図ろうとしているのではないかと思っています。ということで、野暮なレビューをお許しください。