映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!のレビュー・感想・評価
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『おっさんずラブ』ほど現実離れした話ではなかった
テレビドラマは観てなくて、「パンツ」が絡む家族物語であることから、性教育にも関わる筋書きを想定したが、セクシュアルマイノリティやジェンダーに関わる内容であるものの、『おっさんずラブ』ほど現実離れした話ではなかった。若い男性俳優の区別がなかなかつかず、主人公との愛憎が分かれていて、戸惑った。息子の学校関係の話も、明るいばかりで、そうそう良いことばかりなのだろうかとも疑問に感じた。野球を続けられなかった女性が少し痛ましい。漫画家志望の娘との関係性も、痛々しいが、仲良く終われて良かった。「九州水族館」というのは、観覧車やバス停から、鹿児島のようでもあり、福岡のようでもあった。
【”世代が違う、性別が違う。考えも価値観も違う。けれども相手の生き方を理解しよう!”今作は新しい価値観の中で生きる人達の姿をコミカルなタッチの中で描きつつ、発するメッセージは結構深い作品である。】
ー 私はドラマを一切見ないので、ドラマ化の映画だけはある程度事前にフライヤーなどで、情報を仕入れる。
最初は今作のタイトル“おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!”って何なんだ!と思ったのだが、今作を観て納得のタイトルであったよ。
でね、オイラのパンツはね。<以下、強制自粛>ー
◆感想<Caution!内容に触れているかな?>
・沖田誠(原田泰三)が、且つては昭和風の熱血営業マンであり、”LGBTQ"なんて、俺の周りにはいない!”とか言ってしまう、バリバリのパワハラオヤジだった事が、新人佐藤を飲み屋に連れて行く過去シーンから分かる。
だが、彼がそんな過去の自分を深く反省し、性別により様々な制限がある事に疑問を持ち、生きる息子翔(城桧吏)の生き方を否定しない現在の姿や、自分の描きたい漫画と読者が求めるBL漫画を描く自分に悩む娘、萌(大原梓)の姿なども、上手く描かれている。
・印象的だったのは、そんな萌に大きな影響を与えた、中学まで野球をやって居ながら、高校に女子野球部が無いために、母に言われて茶道部に入った女子高生が、或るイベントで高校生男子ピッチャーが本気で投げたボールを見事に打つシーンは、結構沁みたな。
・あとは、誠の妻美香(富田靖子)が推しのグループを応援するために、パートから正従業員になった時に、年下の女性に”皆の前で褒めちゃ駄目”とか”イキナリ、電話するのは駄目”とか、"オイラの会社ではあんなことはやらないなあ。でも営業相手にその女性の上司と思われたりするシーンはあるあるだなあ、とか思いながら観賞続行。
■一番良かったのは、且つての部下佐藤が、今は誠の営業相手であり、いまだに傷が癒えない姿を見た誠が、深く過去の自分の”覚えていない自分の行為”を悔いる姿と、佐藤が、ぎっくり腰になった誠を病院に連れて行った時に、翔や萌や美香の心配する姿を見て”この人は、且つての自分を激しく叱責したパワハラ男から変わりつつあるのではないか”と気付く過程や、その後の彼自身がゲイで有った事が分かるシーンも、ナカナカであったな。
<今作は、”自分らしく生きる。そして自分の考えを尺度に他人の生き方を否定しない。”という事を軸に、新しい価値観の中で生きる人達の姿をコミカルなタッチの中で描いた結構深い作品である。
”世代が違う、性別が違う。けれども分かろう!”というメッセージが響く作品である。>
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