忘星のヴァリシア 第二章 群青

劇場公開日:2025年5月30日

解説・あらすじ

「百合」「メカ」「SF」を題材にした短編アニメを自主制作で手がけてきた新鋭アニメーション作家の比良坂新が、2023年に発表して劇場公開もされた「忘星のヴァリシア 第一章 劫火」の続編として手がけたシリーズ第2弾。

人類最後の砦「天紋部」の基地で、明桜は世界の宿命を知る。かげりをみせる「生命の火」を狙う「簒奪者」は残り2体で、戦いには2人の機体が必要だった。戦いの中で明桜は、幸福な今か、魂を捧げる未来かの選択を迫られる。

完全個人制作だった前作「第一章」から、百合総合文芸誌「零合」を刊行する零合舎の製作・配給作品へとスケールアップ。2025年4月に大須シネマで劇場公開となり、同年5月、自主制作アニメの登竜門とも呼ばれる東京・下北沢トリウッドで「第一章」「第二章」2本立てで劇場公開される。

2025年製作/42分/PG12/日本
配給:零合舎
劇場公開日:2025年5月30日

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映画レビュー

4.0連星の詩

2025年6月12日
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ブレミン

5.0監督は少年の心を持っている

2025年6月3日
スマートフォンから投稿

興奮

幸せ

驚く

かつて誰もが持っていて、いつか誰もが捨ててしまった少年(少女)の心。
作品への愛、憧れ、崇敬、そして熱狂。
普遍的で必然的で、それでも自分にしかなかったはずのあの時間。
比良坂新監督は、私たちが外れてしまった延長線の上にいた。

私はこの作品を観ながら、直視できないような眩しさを感じていた。かつてアニメを楽しんでいた監督の心が、文字通りの「自主制作」によって実像を結ぶ。色濃く時代を反映させたそれはある意味で、未来のオーパーツなのかもしれない。

共同制作では発生しない烈光。
2025年には生まれない物語。
比良坂新監督が愛した時代の"あるはずのなかった第二幕"が開かれる。

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氷山の一角

5.0新海誠ではなく(足して)庵野秀明になれるか

2025年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

斬新

ドキドキ

第一章と続けてトリウッドで鑑賞、満席回。
青春真っ盛りの夏を舞台に、恋愛模様が深く描かれる。良い意味でのハッタリや、作画と美術の密度も格段に増し、40分超えでもダレがない。
二昔ほど前のアニメ、特に1クールのテレビ作品や数話構成のOVAの面影を感じる。

前作からの変化としては00年代のシャフト作品のような、あえてキャラクターの表情を見せない演出とシンプルな背景美術(ここは手描きではなく3Dか)のカットがマッチしている。自主制作で監督の一人作画に、丁寧な作画(ufoや京アニのような)は期待できず、また背景美術やエフェクトにこだわる綺麗目の画作りを期待すると、期待外れだろう。しかし「自分のやりたいことを好き放題にやる」実力を、個人で手に入れつつあるのがやはり驚き。肝心の脚本の内容も最後まで気持ちが良く、シリーズ2作目として格段の進歩が感じられた。

トリウッドで個人制作の若手監督なら、新海誠フォロワーである前提で「ほしのこえ」的なごく私的なフィルムか、もしくは「君の名は。」以降の「優等生的な・収まりのよい」作品を作ってくるのだろうと、良くも悪くも予想していた。一方、2本立て75分という長さの時点で矛盾があり、期待半分不安半分だった。

個人的にこの監督は、「ほしのこえ」から「秒速5センチメートル」を作っていく新海監督のようには見えない。むしろDAICON FILMから「王立宇宙軍」を作るガイナックスのような無鉄砲さ・破天荒な気質を感じる。また、観客の質問への監督らの反応からしても「レヴュースタァライト」の古川知宏監督フォロワーには違いない(※古川監督もエヴァ世代だが本作の監督はまだ25歳)。

だとすると比良坂新は、新海誠ではなく未来の庵野秀明になり得る逸材なのか?
技量以前に、世代に染みついたオタク性の点で荷が重いか……。それでも一人のアニメで板野サーカスをやってのける時点で十分に年不相応と言える。監督よりも本編について語りたがる、まさに古いオタクな配給会社の社長(しかしお若い)がいる程度には、やはり作品が伝える力は本物だと微笑ましかった。

若き才能ある監督が根性で作った映画を、妙齢のプロデューサーがどう世に問うか、最終章も二人三脚を見守りたい。

※余談
「ロボットアニメ主人公を少女がやってのける時代」は商業に限らずアニメ全体の意識として出てきつつあるのかもしれない、とも有意義な気づきがあった。百合ジャンルへの期待も高まる1本だった。

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lily

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