「振り返って考えれば物語全体が心理的な迷宮」黒い瞳 4K修復ロングバージョン ねこたまさんの映画レビュー(感想・評価)
振り返って考えれば物語全体が心理的な迷宮
クリックして本文を読む
ロシア人監督が撮影したイタリア映画ですが、時代はまだペレストロイカの頃。ロシアを舞台にした場面は、どうやって撮影したのか不思議です。
主役のマルチェロ・マストロヤンニをはじめとして役者が良い。特にヒロイン役のエレナ・サフォノバが魅力的で、この人の美しさがないと成り立たない物語だと思いました。
お話しとしては、現代の主人公の語りで、主な場面である回想シーンが軽妙に進展します。
しかし、それが「信用できない語り部」の告白で成り立つ不安定さに終盤で気がついて、観ている人間の心理は徹底的に揺さぶられます。
回想の理不尽な結末には、主人公の全ての言動に飽きれかえってしまいます。
一体、何が真実で何が本心なのが。それも分からないままエンディング。
振り返って考えれば、物語全体が心理的な迷宮となって、とても面白いです。
主人公にも、映画にも、まんまと一杯喰わされたという感じでしょうか。
コメントする