「流れ請負人のカッコよさ」映画「F1(R) エフワン」 じんじんさんの映画レビュー(感想・評価)
流れ請負人のカッコよさ
既に半月経ってしまったので鑑賞直後の熱さはないのだが、今になって気付いたことがある。
これはカーレース映画ではあるけど、最後は「荒野の七人」系や「ロードハウス」の雇われ用心棒や、「ブラックジャック」「ザ・シェフ」のような流れ短期契約のトッププロたちに共通する、根を持たない男が魅せる孤高のカッコよさを描いた映画なんだなと。
音響やスクリーンが特殊な劇場で観たかったので、スクリーンXを選んで行った。
正直いって、謳い文句ほどの没入感は無かった。
そのせいか、デジタルIMAXで観た「グランツーリスモ」のレースシーンの方が手に汗握る迫力を感じた。
ストーリーの方は若い頃に挫折感を味わい、第一線を遠ざかったベテランドライバーが成績上がらないチームの立て直しを依頼され、最終レースで見事結果を出すというお決まりのストーリー。
美人エンジニアとの関係性とか出資者の悪巧みとかも主人公のキャラらしく決着を付け、次の草レースに赴く。
普通の人間の価値観ではあり得ないラストだけど、普通の人間がするような展開じゃドラマにならない。
稼ごうと思えばいくらでも稼げるのに敢えてそうしない。奥さんと子供が待つ家に帰るという生活を選ばない孤高の男。
じゃないと、リアリティーを持つ人間としてスーパーな主人公にはなり得ないか。
そこんとこがこの映画の主食であって、レースはどちらかとオカズ。だから正々堂々スピードで勝負するより、策を練り、ルールを利用したチーム戦術で戦う。
映画上、必要な戦い方と解っちゃいるんだけど、姑息さが手の汗を引っ込めさせたのは否めない。
