「PLAN Bの"プランC"」映画「F1(R) エフワン」 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
PLAN Bの"プランC"
ブラピの飄々とした魅力がトップギアでリードしながら、彼のキャリアを振り返りつつ、自身がまだまだ現役で"ファーストドライバー"主役を務められることを大舞台で証明している。おかげで脚本以上の映画体験をフロントシートから味わいながら、走り慣れた王道コースの気持ちよさと時を超えても廃れないヴィンテージカーの格好良さも思い出す
「遅いはスムーズで早い」― 最初は最下位でも、1周で1秒早くできれば72周でトップになれる = "三歩進んで二歩下がる"かもしれないけど人生と同じ、一歩ずつ。
水と油の凸凹コンビで衝突しまくりかと思いきや最初の方から割と素直に(?)チームプレーに目覚める主人公ソニー・ヘイズは、性格難ありながら腕は一流のレーサー✕車中生活のギャンブラー。対するは、生意気で傲慢ながら顔に貼り付いたような広告スマイルと変なポージングが得意な若手ルーキー(次期ブラパンの噂も?)。そんなルーキーや容赦なく傷口えぐってくる失礼な英国記者相手にも滅多なことでは声を荒げることなく、澄ました笑顔のまま流すように対応する主人公は老獪(というほどの歳ではない)と言うか、グレーゾーンな ― ソニー見倣い"矢のようにはっきりと言う"ならズル賢い卑怯な ― 方法で、弱小チームの成績を上げていく。その展開が自分の中では少し肩透かしというか、期待していたものと違っていた。だけど、安心してください!
「時には負けるが勝ち」― 次世代の若者に譲る話かと思ったら、最後にはまだまだ現役退かないぞ/若造おまえにはまだ当分ファーストドライバーの座は譲らないぞ、という話で笑って安心した。
けど、そこに至る過程やキッカケがキャラクター主体でなくてやや弱く、かつ多少強引に力業で、脚本は弱いと感じたけど、それを超えてくる映画的見どころ。敵も薄っぺらくて記号的(いや、わかるんだけど)だし、例えば本作には『トップガン マーヴェリック』や『フォードVSフェラーリ』のような深いドラマや圧倒的な名作感はないかもしれない。ただ、それでも大スクリーンで体感すべきダイナミズムと本物の興奮がここにはある!それはつまり迫力のレースシーンであり、"地上版(付け加えるならブラピ版)『トップガン マーヴェリック』"という宣伝文句も伊達じゃないと分かるレーサー目線のスリリングさ。あんなに車高低くて、あんなに速くて、前何も見えないしめちゃくちゃ怖い。監督"マーヴェリックの"ジョセフ・コシンスキーなことばっかりピックアップされていた気がするけど、製作ジェリー・ブラッカイマー✕音楽ハンス・ジマーだったとは最強布陣。
我らがブラッド・ピットの飄々と肩肘張らない自然体の魅力(ex.『オーシャンズ』シリーズ、『Mr.&Mrs.スミス』、『マネーボール』、そして『ワンハリ』)がエンジン全開!!
その中で、鈴鹿サーキットでの『ブレット・トレイン』、"戦車"発言・コンバットでの『フューリー』、ラスベガスでの『オーシャンズ11』、そして『マネーボール』と考えすぎかもしれない(きっとそうだろう)けど、今までのブラピの半生キャリア・今まで歩んできた道程を振り返っていくようだ。それらは、"ワンハリ"こと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でやっと(役者として)オスカー受賞できたブラピ自身の状況に重なる。
目新しさという意味での新鮮さはないけど、パパ世代のための今夏のブロックバスター!ハリウッド大作とクラシック・ロックの相性の良さ。ブラピで言えば『マネーショート』予告編でのWhen The Levee Breaksに続くツェッペリン。「堤防が壊れるとき」=即ち金融破綻=リーマン・ショックを表していた『マネーショート』に対して、本作の場合は主人公の(埋められない)レースへの熱量・満たされたない渇望と同時に、本作が観客に思い出させてくれるヴィンテージカー永遠の格好良さを表しているような気がした。更に加えて本作の予告では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2』でもお馴染みなフリートウッド・マックのThe Chain。この選曲も本作の内容を端的によく表していて、一見ソニーとPJの切れない関係・腐れ縁みたいに思うけど、実はソニーとレースの関係という図式。
カネ目当てじゃない、一生ゼロから始める根無し草。じゃあ何が目的?プランC for "カオス"?"コンバット"?達成したら興味がなくなる…わけではなくてもまた新たな景色・刺激を求めてその場を後に、旅に出る。ソニー・ヘイズ、彼はそういう人種だ。"浮いているみたい"に、そういう生き方しかできないのだ。だから、レースで死ぬとしても、俺は迷わず走る。何度でも。
コンバット!コンバット!コンバット!
"See you down on the road."
P.S.『トップガン マーヴェリック』トム・クルーズが自信満々に向こう見ずで、誰にでも噛みつく勝ち気で爽やかな役柄を得意とするように。
最後に主人公が見る景色は、そこに至る過程が自由と縛りで一見スタンスは真逆だけど、案外『国宝』に通ずる景色へ…?
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