「一瞬も目が離せない」羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 パジャマさんの映画レビュー(感想・評価)
一瞬も目が離せない
吹替版と字幕版を両方観ました。
ずっと楽しみにしていた羅小黒戦記の続編。正直、一作目が本当に好きすぎて、続編が好きになれなかったら、新キャラを愛せなかったらどうしようというわずかな不安の気持ちすらあったのに、今、それが杞憂だったことが、この素晴らしい作品を観ることができた幸福で胸がいっぱいなのが嬉しいです。
前作から二年。無限師匠と小黒の関係の変化が、本当に些細な描写の端々から伺えます。
個人的に注目したのは、視線を合わせることなくごく自然に手を繋ぐシーン。何度かあるのですが、二人の関係の深まりを感じました。また、終盤のアイスの件はあまりに可愛らしい親子の会話で、お気に入りのシーンです。素直に小黒が師匠に甘えられていることが、前作の彼の境遇を思うたびに心から嬉しく思います。…それはそれとして、修行面ではフラストレーションが相当溜まっていたのか。偽無限が出てきたときの小黒の様子は今作で一番生き生きとしているように見えて笑ってしまいました。
新キャラとして出てくる姉弟子の鹿野(ルーイエ)。強く美しくかっこいい、まさに無限師匠に鍛えられた弟子という説得力があり、とても魅力的なキャラクターだと感じました。クールなキャラというのは予告から印象として待っていましたが、小黒にボコボコにされる偽無限をケラケラ笑いながら撮影していた姿にギャップを感じて大好きになりました。
本作は小黒と鹿野が対比的な主人公の役割を負っており、小黒との交流を通して彼女自身にも内面の変化が起こったことがラストシーンからも伺えます。人間に生活を破壊され、人間の無限に救われた二人。彼らの選び、導き出した答えの違いが、前作から羅小黒戦記で描かれている、複雑で根深い分断の問題に、安易に答えを描かないという真摯さとリアルさを感じます。
また全編を通して、前作との温度感やスケール感の違いにも驚きました。特に冒頭の戦闘描写の残酷さ。血が飛び散るわけではない。けれど崩れ落ちて脱力する体や生気を失った表情など、確かに命が失われたと感じる瞬間の描写に胸が痛くなりました。前作ではそれほど描かれなかった人間側の悪意や脅威が、今作では随所に描かれ、倫理的なストレスがほとんどなかった前作との違いを感じました。
ただ、アクションシーンも劇伴もアニメーションも本当に素晴らしく、日本の最前線のアニメ映画と遜色ない、どころか、個人的には超えていると感じる部分さえあります。続編ではありますが、この作品だけ見ても楽しめる内容になっているかなと思います。
本当に本当に、制作スタッフが愛を込めて作品に携わっていることがわかる作品です。背景のモブのようなキャラまで、まるで生きているかのように自然に動き、息をしてその場にいるので、一瞬たりとも目が離せません。
是非劇場で上映されているうちに、出来れば音の良い映画館で鑑賞することをお勧めしたいです。
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