劇場公開日 2025年9月5日

「とても緻密に、かつ繊細に作られていました。」ふつうの子ども ひろ702さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 とても緻密に、かつ繊細に作られていました。

2025年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

斬新

ドキドキ

某ミニシアターで、「この映画本当に面白いですよ。」という声を背にしながら、鑑賞。パンフは売り切れということだったのでネットで監督さんのこの作品についてのインタビュー記事を見つけて、参考にさせていただきました。
全くのフィクションでありながら(本当だったら大変だ)主役の3人の子どもをはじめ、登場人物がそこに実在するようなリアリティを感じました。前出のインタビュー記事によると、
例えば休み時間の教室の様子も主役級の子どもだけでなく、一人一人の動きや台詞が決まっていてとても緻密に作られていたということがわかりました。
この映画を観てから、アメリカ映画の「KIDS」のリバイバル上映を観る機会がありました。結果的に無軌道になっていく若い人たちの姿を描いているということは実は共通しています。その映画では男の子や女の子が集まってお喋りをするシーンが多いですが、アドリブはなくてそのほとんどが脚本通りで、あまりのリアリティに主役級の男性俳優の方は役の人物(セックスマシーンとして描かれていた)と同一視されて困っていたそうです。心愛を演じた瑠璃さんにはそんなことはないと思いますが。(有名なスウェーデンの環境活動家の少女と重なるかもしれません。)
別の話です。私は元小学校教員ですが、何年かに一度、担任や同じ学年の子どもに心愛のような子がいたような気がします。(女の子ばかり)めちゃくちゃ頭が良くて、よく言えば純粋、悪く言えば原理主義者的で他人と群れず、子どもの中に大人が紛れている「ふつうの子ども」じゃない子でした。そういった子にとっては背伸びしているのでなくて通常運転なのかなと思います。心愛が架空の人物ながら、どんな大人になっていくのかドキドキします。いい方向に育って、社会を動かすような人になって欲しいなあと思いました。

ひろ702