「最後はハッピーエンドなんです。」火喰鳥を、喰う hamaさんの映画レビュー(感想・評価)
最後はハッピーエンドなんです。
SFホラーといえば、宇宙もの。そんな常識を湿度高めなジャパニーズホラーの文脈から描かれている点に新しさを感じます。或いは、「引き寄せの法則」ブームに対する一つの「if」のようにも見えます。ホラーでもあり、SFミステリーでもあり、これまでのホラーとは違った感触を存分に楽しむことができました。
ホクトのキャラクターは、さながらシンゴジラの彼女のようにデフォルメされすぎていて、この点もしかしたら違和感を感じる方もいるかもしれません。「胡散臭くて、嫌な感じ」は凄くよく表現されていますが、もう少し抑え気味の方が間口は広がるように思います。
さてタイトルにも書きましたように、最後がハッピーエンドです。これが伝わらないと、映画を観た後の印象が大きく変わってしまうように思います。以下解説します。
---以下ネタバレアリ--
ホクトが儀式を完成させることで、サダイチの生存ルートが確定し、ホクトとユリコが一緒になる未来が作られました。これをもって、執着が強い者が勝つ=ホクトが勝利したように見えますが、最後、ユウジの逆転を示唆して映画は終わりを迎えています。
つまり、虫を殺すことすらできず、欲が無いとも言われていたユウジは、一連の流れからユリコに強く執着する。サダイチ死亡ルートのホクトの執着が、サダイチ生存ルートのユリコ獲得に導いたのと同様の文法で、サダイチ死亡ルートのユウジの執着が、サダイチ生存ルートのユリコへの執着にも継承されている。そして、ユウジのみならず、ユリコもまたユウジに執着していた訳です。
だから映画のラストでは、ユウジだけでなく、ユリコも振り返る。ホクトだけの執着と、ユウジとユリコの二人の執着。その先に示唆されるのは、やはり二人の勝利であり、だから最後はハッピーエンドなのです。
しかしこれを映画の中で説明するには大変難しい。映像として説明してしまえば蛇足感が半端ない。でもこれが伝わらないと映画体験に大きく差が出てしまいます。執着の強い者が勝つ=執着の強いホクトの勝ち=ユウジは負け。これでは、視聴者は納得しません。
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