「原作と見比べながら何回も観て新たな発見をしていきたい作品」火喰鳥を、喰う みりさんの映画レビュー(感想・評価)
原作と見比べながら何回も観て新たな発見をしていきたい作品
私は、北斗役の宮舘涼太さん目当てでこちらの作品を拝見しました。
あまりホラーやグロい表現が得意ではないので、ミステリーホラーに分類されるこちらの作品を観ることへの不安が多少ありました。
実際のところは物語にホラー要素が無く、原作よりもグロい表現がマイルドになっていたので、私個人としてはとても観やすい作品でした。
(原作に忠実な表現を求める方には物足りないかも…?)
作品についてはまず、執着が強い者こそが最後に勝つということが強く描かれている映画だなと感じました。
•貞市の生への執着
•北斗の夕里子への執着
このような執着の強さは、実は私たちの生活の中でも潜んでいるのではないか、それに負けない執着を持って生きていくことが、様々なことが起きる社会では大切なのだと強く感じました。
貞市と北斗の執着の強さは、原作同様、とても恐怖を与えてくれる表現になっていたので良かったです。
また、雄司は執着と無縁の性格でしたが、夕里子を失い、夕里子への執着が生まれ、執着に狂う展開が強く表現されていたところも見応えがありました。
結末ついては、人それぞれ様々な感想があるかと思いますが、個人的には良い結末だったのではないかと感じました。
原作の結末は雄司が世界から消え、北斗と夕里子が結婚する世界線で終わり、あまりにも雄司が報われない世界として描かれていたため、悲しみを強く感じました。
映画の結末は、最終的に別々の人生を歩んだ雄司と夕里子が出会う運命的展開で、最初に見た時は「あれ?貞市が生きている世界線では、雄司は死んでいる設定じゃなかったっけ?」と戸惑いましたが、2回目に観た時に「雄司も夕里子への執着が強くなり、別人として生きる世界で生きることができるようになったのかな」と思うと、かなり腑に落ちました。
このような結末のおかげで、夕里子を奪われた雄司の悲しみや、北斗のそばで感情を失い生きざるを得ない夕里子が、この先少し救われるのではないか…という希望を感じたところが、私が良い結末だと感じた理由です。
あと、原作を読んだ上で映画を観たために感じた違和感を挙げるとすれば
①火喰鳥の怖さを表現する場面が少なく、ただただスコップで殴られて可哀想な存在の火喰鳥だった
②北斗の「実は久喜夫妻の味方なのか…?」と思える要素が少なかった
③原作は女性が見ている悪夢から始まり、最後にあの悪夢は千弥子が見ていた悪夢だったのか…と伏線回収をすることで、千弥子や貞市にも寄り添える物語だが、千弥子側の視点が最後にしか無いことで、千弥子がただただ不気味な女性に映って見える
以上3点については、違和感を感じました。
ただ、結末以外は基本原作に忠実な内容ではあったので、原作を読んだ上で観る映画としても観やすい映画でした。
また、できる限り映画を観るとともに原作を読んだ方が、様々な点で理解を深めやすいのかなと思いますので、ぜひとも原作も読んでいただきたいなと思います。
長くはなりましたが、宮舘涼太さんのファンとしては、初めての単独出演映画の役が北斗総一郎というキーパーソンであったことがとても嬉しく、執着によるサイコパス感が強い役であったことが観ていてとてもゾクゾクして楽しく、難しい北斗という役に"宮舘涼太らしさ"をしっかり取り入れつつ演じている姿を観られたことがとても幸せでした。
これから、何回も映画館に通い、この映画の新たな発見をできたらと思います。
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