「運命の赤い糸を紡ぐのは、神様の仕業ですよね」火喰鳥を、喰う Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
運命の赤い糸を紡ぐのは、神様の仕業ですよね
2025.10.4 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(108分、G)
原作は原浩の同名小説
人の執着を利用した罠と対峙する科学者を描いたファンタジーオカルト系ミステリー映画
監督は本木克英
脚本は林民夫
物語の舞台は、信州・松本
長野学院大学にて教鞭を執っている久喜雄司(水上恒生)は、妻・夕里子(山下美月)とともに幸せな時間を過ごしていた
実家には母・伸子(麻生祐未)と祖父の保(吉澤健)がいて、東京から来た夕里子も田舎暮らしに馴染んでいた
ある日のこと、一族の墓にいたずらされるという事件が起きる
それは、保の兄・貞市(小野塚勇人)の部分だけが削り取られていて、しかも彼の従軍手帖が発見された時期と重なっていた
パプアニューギニアにてその手帖を受け取ったカメラマンの玄田(カトウシンスケ)は、記者の与沢(森田望智)とともに彼らの元を訪れることになった
さらに夕里子の弟・亮(豊田裕大)も加わって、従軍手帖を確認することになったのである
映画は、手帖の出現によって、貞市が生きているのでは?という疑念が生まれることになり、そのトリガーとなったのがカメラマンの玄田の言葉だった
さらに何かに取り憑かれたように亮が「ヒクイドリヲタベタ ビミナリ」と書き込み、それが既成事実のようになっていた
そして、一連の「死亡の不確定」を演出したのが超常現象の専門家で、夕里子に執着を北斗総一郎(宮舘涼太)だった
不可思議な出来事が起これば、夕里子は自分を頼るだろうという目論見があって、その通りになって「再会」を演出する
そして、貞市の「生き残りたい」という人類最大の執着を利用することによって、「貞市の生きている世界にいてはいけない人」というものが次々と消えていく、という流れになっていた
さらに北斗は雄司に自分を殺させることによって、貞市の生きている世界線というものを確実なものにした
ラストでは、逆再生のようにこれまでの時間が巻き戻り、雄司と夕里子が出会っていない世界線へと変貌を遂げた
だが、2人を結びつける「何か」は2人を出会わせ、夕里子の何かがそれを感じ取っていく
この流れは「夕里子の執着を生み出す瞬間」でもあり、それは貞市の執着と異質のものでありながらも、最も強いものだったと言える
それは論理的に説明できるものではなく、いわゆる「人と人を結びつける運命決定論」のような「神様の計らい」というものなのだろう
それを考えると、どのような人の執着を持ってしても、運命というものは変えられず、貞市が生き残ろうが死のうが、雄司は夕里子と出会い、2人はどのような困難を超えてでも、結ばれるということなのかな、と感じた
いずれにせよ、結論はわかりやすいが、そこに至る過程と、ラストの夕里子の涙というものは解釈が分かれるもののように思える
一つの可能性は前述のものだが、もう一つの過程は「雄司が北斗に負けたこと」に対する涙のようにも見えてくる
だが、ロマンスであることを考えると、2人の出会いというものは運命的であり、何があっても結ばれるという方が合っているように思う
誰の執着が一番強いかということを考えれば、やはり「神様が一番」だと思うし、それは人の思念の及ばないところにあるのかな、と感じた
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