「原作より優しい描かれ方」火喰鳥を、喰う みちさんの映画レビュー(感想・評価)
原作より優しい描かれ方
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 そもそもミステリーホラーの謳い文句には「?」評価が付けられていることも多かった原作で、多元宇宙論や世界五分前仮説なんかを真っ向から否定するリアリストには向かない作品。
現実ともう1つの現実が入り交じり、夢との境が分からなくなってくるあたりにCGが入ってくるので、そのいかにもなCG感が逆に良かったような気がする。
一人舞台と客席のような北斗と雄司の対比が、夕里子の亡骸の前で同じステージに来たような色味を感じて、取っ組み合いのシーンはとても良かった。
ニューギニアでの日本軍の戦いの中にはカニバリズムの噂なんかもあったり…というのがヒクイドリのモチーフにもなってるのかと。貞市が食べたヒクイドリは誰だったんだろうか。そして夕里子の埋められかたは熊が行う土饅頭の行動にも見えた。
鑑賞後に色々な考察が浮かび、じわじわと癖になる面白さ。
しかし原作既読としてはラストには蛇足感あり…こだわりの点なのかもしれないが、夕里子から雄司への感情は愛情というよりも「雄司といることで普通の人間として見られている異物感の無い自分」が欲しかった執着のようにも見えるので、果たして北斗と同じ「異物感のある自分」に慣れてしまった夕里子の世界線に雄司は必要なのか?とも思ってしまう。あと単純にロマンチックな要素はいらなかったのではとも(笑)
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