「性暴力の傷痕」ミステリアス・スキン すーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
性暴力の傷痕
幼い頃に成人男性に性的搾取された少年2人、ブライアンは記憶を自ら改ざんして宇宙人に誘拐されたと思い込み、ニールは年長者の男性に愛を求めて男娼として生きている。
少年たちが人生を狂わされていく様子がつぶさに描かれており、どちらもトラウマへの防御反応かと思うと辛い。
スクリーンから目を逸らしたくなるような具体的な描写もありましたが、巧みに映像化されていて、彼らの受けたショックがそのまま胸にグサグサ突き刺さりました。
(スコット・ハイム原作の小説は作者の実体験を元に書かれたそう)
少年野球チームの監督が少年たちを毒牙に、というと嫌でも思い出してしまうのが、某男性アイドル事務所元社長のJ氏(故人)。
あの件がまず欧米諸国で糾弾されたのは、ペドフィリアに容赦ないお国柄だからなのか。
いや、それだけ隠れ愛好者が沢山いて、社会的に看過できないということなんでしょう。
この映画を観て、やはり氏の蛮行は何があろうと許されることではない、との思いを強くしました。
…とはいえ、2人の少年の可愛らしさと、ニールを演じたJ.G.レヴィットの色気…に全く邪な気分にならなかったか?と聞かれたら、否定できず…
(レヴィットはインセプション以降しか知らなかったので、体当たりでこんな役をやっていたとは知らず。潔く脱いでてびっくりした!のと、この頃から目の演技が秀逸ですね)
そのたびに、これはそういう映画じゃないし、これじゃああのオッサンたちと同じだよ?と、自分を諫めること度々。
性暴力のトラウマ、って、ドラマや漫画等でスパイス的に気軽に持ち込まれがちなネタだったりするのですが、そこに真正面から切り込んだこの作品を見ると、そんなに甘いものじゃないよなーと思わせてくれます。
演技も演出も素晴らしく、20年の時を経て映画館で観れたことに感謝です。
(上映館が少なすぎるのが残念です)
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