forget-me-notのレビュー・感想・評価
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勿忘草の伝説
『映画監督外山文治短編作品集 東京予報』の3篇のうちの1篇。私は3篇のうちではこれがいちばん好みです。「東京予報」というタイトルにも合ってる感じがします。
ガールズバーで働く3人組が自死して無縁仏状態になったかつての常連客の葬儀に参列する話。彼のポケットから出てきたメモに彼女たちの名前があったのでそこに呼ばれたわけですが、参列者は彼女たちのみ。暗い話のように聞こえますが、苦いユーモアが散りばめられていてなかなか味わい深いです。また、ドイツに伝わる勿忘草の伝説がうまく挿入されて効果を出しています。
たまたま同じ職場で働いていただけの関係だった3人がいっしょに葬儀に参列したことによって互いに関心を持ち、ちょっぴりだけど距離を縮めてゆきます。そして、結果的に死して彼女たちを近づける役目を果たした彼が生前にしていたであろう仮想恋愛。そんな仮想恋愛は彼の亡き骸に手向けられた「造花の」勿忘草で報われることとなります。何か大都会の孤独な魂たちのささやかな関わり合いを見るよう。都会の片隅で生きる人たちのエピソードをうまく切り取ってピンセットでつまんでひょいと見せてくれた感じでうまいなあと思いました。
日常なので忘れていくもの
スーパーガール
ガールズバーの店員3人が常連客の遺言に沿って葬儀場に行くという、3作の中では1番設定に惹かれた作品で、今作が1番面白かったです。
ガールズバーの客引きをやってる時のトーンと地声に戻る時のトーンが全然違うのもめっちゃリアルだ〜とニヤニヤしてしまいましたし、軽口叩き合う関係性なのも良いな〜ってなりました。
葬儀場へ向かう中で素の状態で会った3人が、ガールズバー以外の時は何やっているのか?とか普段こんな感じなんだねと見知らぬ他人を知る感じもリアルでした。
エアドラムやってよ〜って言ってやらせたら引くっていうもうちょいのったって!という流れもなんだか愛おしかったです。
遺書的なものを読み上げる中で、それぞれにメッセージを送っている中で、1人だけあいみょんに似てるねってメッセージのみを残されてすぐに次に飛ばされた流れがマジで面白かったです。
性格とか接客とかそんなん置いておいてあいみょんにめっちゃ似てるやんが印象に残ってるって中々斬新な体験で貴重ってなりました。
ラストシーンでは常連客と似た人が同じように客引きをしているんですが、3人は誰だっけ?レベルであんまし覚えていないというのもリアルでした。
学校だったりバイト先だったり、同じ環境で長い時間過ごしている人でも時間が経てば薄れてしまうのに、店員と客の関係性ってほんと一瞬、長くて数時間だから忘れるのもあっという間だよなと頷きっぱなしでした。
テンポも余韻もポンポンと進んでくれるので、これぞショートフィルムの濃密さだな〜ってなりました。
こういうのがいいんだよの詰め合わせな15分でした。
鑑賞日 5/22
鑑賞時間 18:05〜19:12
※「東京予報」の短編の1作
花言葉は「僕を忘れないで」
「目を細めたらあいみょん」は褒め言葉か否か
あの程度の遺言(?)で無縁仏の火葬に立ち会えるのかな。
職場の方の時は、駐車場でこっそりお顔を見せてもらった後は火葬後しか会えませんでした。
オープンからだったミカだけ聴取を受けたとのことだが、普通他の2人にも話聞きにくるでしょ。
少なくとも出勤時に店長から話はしろよ。
…という導入だけど、出勤扱いになるならまぁ行きますよね。
なんだか3人のキャラも君島さんのこともよく分からないままお別れ。
ミカが純粋でいい子なのは確かみたいだったけど。
そして最後の彼はなんかのかとか、すぐ忘れるんかーい!とか、解釈の分かれそうな形で着地。
あっけらかんとした無常感は感じた。
忘れていいのよ
忘れな草、800円
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