「ひと夏の成長物語としてよかった」夏の砂の上 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ひと夏の成長物語としてよかった
少年少女のひと夏の成長を描いた映画。ジャンル名こそない(聞いたことがない)が頻繁に見かける。若干年が上の世代だが、実は本作もそんなひと夏の成長を描いた映画だった。
オダギリジョー演じる治と、髙石あかり演じる優子。この2人を軸に物語が展開していくが、どちらがメインなんだろうと思う。やはり治なのかな。息子の死、失業、別居と三重の苦しみを味わっている姿がつらそうでやたらと切ない。
でもスクリーンに映る優子が気になってしまう。挨拶はできるし無愛想でもないのに生気がないように見える表情。誰も自分になんて興味ないんでしょという態度。それが、治やバイト先の先輩立山と交流するうちに変わっていく流れだ。特に治の妻への態度は、優子の育った環境に対する嫌悪感みたいなものを感じさせて印象に残る。そして雨のシーン。治と優子の心がつながりあう、とてもいいシーンだった。出演している俳優はすごい人ばかりだったが、あの存在感をだせるのだからやはり髙石あかりはすごい。
優子が立山に書いた手紙とか優子の過去とか、説明不足な部分はある。優子も自分の将来を選択できない年代なんだよなという切なさも感じる。でも、最後の治の表情にちゃんと救いがあった。いい終わりだ。
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