「ショービジネスがおりなすメビウス・ループ」シカゴ 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ショービジネスがおりなすメビウス・ループ
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そろそろ公開から20年近くなろうという名作ですが、たまたまレンタルでも未鑑賞、たまたま近くで上映していたので飛び込みで視聴。いやあ、素晴らしかったです。
「それ絶対に相方ヤッてるやんw」という苦笑いからスタートし、ほんの一瞬だけステージの女優と主役が入れ替わるという、一瞬でお話を判らせるための贅沢シーンで、もはやクラクラ。最後の最後まで、売名行為のためなら人殺しでも何でもする悪魔達の饗宴を、夢中になって見届けました。名作ミュージカルの映画化だからこそ、見事な構成、見事なショーアップ。
でも、我々凡人が共感するのは、哀れな哀れな旦那さんでしょうか。毎日、何時間も働いて、生きることに悩んでばかり。ショービジネスに生きる狼たちからすれば、我々凡人はさぞ哀れな存在なのでしょう。歌や踊り、芸事は上手くて当たり前。他人の不幸に噛み付いてでも、役に食らいついて仕事を奪い取る。そのためだったら、かつてのライバルとも手を組むことに躊躇わない。そして圧巻のラストステージ。全ての出演者が顔を出す、カーテンコールの様式美。ショービジネスの世界を描いたショービジネス。はてさて、このミュージカル、この映画の役の取り合いに、どんなやり取り、どんな争いがあったものやら。剥いても剥いても切りが無い無限ループ――そういえば、あの女優さんは最初に相方をヤッちゃいましたっけ。ではこの後も?
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