「お猿さんには、「ドラム」ではなくて、「シンバル」を使ってほしい。」THE MONKEY ザ・モンキー チャキオさんの映画レビュー(感想・評価)
お猿さんには、「ドラム」ではなくて、「シンバル」を使ってほしい。
ホラー映画、特に、シンボリックなキャラクターが出てくるホラー映画に関しては、どうしても気になってしまう性格なので鑑賞はしたものの、結果は、ただただ、「お猿さん」が、「かわいいな」、と思うだけだった。
「不条理系」殺人ホラーだったので、正しい鑑賞の御作法は、殺害場面を楽しむことだが、この「キモ」となる、殺人シーンについては、映画「ファイナル・デスティネーション」系の既視感アリアリだったので、正直、真新しさはない。
そして、その死へのいざないは、まず、最初に、お猿さんがドラムを叩くのだが、このドラムを叩いている時間もそれなりに長いし、そして、叩き終わってから、死に至るその瞬間を迎えるまでの時間も、間延びしているので、何と言えばいいのか、「緊張感がない」というか、「ダルい」というか、「リズムが悪い」というか、あまり楽しく「感じて」いない自分を「感じて」しまった。
特に、車の後部座席にいた、警察官モドキが、蜂に殺されるシーンなどは、前段階から、ある程度、想像できてしまうし、そして、前述したとおりの「リズムの悪さ」なので、驚きやドキドキ感などを、もはや、全く感じない。
映画鑑賞中の、合間、合間に、私自身は、一見、無差別(「不条理」)に行っているように見える、お猿さんの殺人は、実は、そこには一定のルールや法則があり、そして、それを発見していく過程で、兄弟間の確執やわだかまりが溶けていく、みたいなストーリーを自分勝手に想像していたのだが‥‥‥ 。
まぁ、想像どおりの展開も、それはそれで、「つまらない」とも言えるが、結果「不条理系」ホラー映画だったので、もう少し、殺害シーンで「恐怖」「ドキドキ」なるものを感じられたらなぁ、と思った。
私は、鑑賞中に、なぜ、お猿さんに「ドラム」を持たせたのか、お猿さんといえば、「シンバル」じゃないかと、ずーっと考えていた。「ドラム」を長々と叩いて、「これから人が死にますよ」と告知されても、あまり驚きはない。むしろ、「シンバル」の破裂音一発で、即、死亡みたいな、リズミカルな流れを見せてほしかった。
