「理不尽な死をエンタメとして楽しみたい人向け」THE MONKEY ザ・モンキー 赤足さんの映画レビュー(感想・評価)
理不尽な死をエンタメとして楽しみたい人向け
本作の特徴は、ホラーにブラックユーモアを織り交ぜた独特のトーンにある。血みどろのゴア演出は『ファイナル・デスティネーション』を思わせ、観客を驚かせる一方で、残酷な余韻も残す。猿の玩具はどこか愛嬌がありコミカルに見えるのに、シンバルを叩けば死が訪れ、回避は不可能。そのギャップが強烈で、キングらしい不気味さが漂っている。
ストーリーやキャラクター描写の掘り下げは浅い部分もあるが、逆にそこがシンプルな呪物ホラーとしての魅力につながっている。過剰なゴアや不条理な死の見せ方は、笑いを誘いつつも後味に暗さを残し、観客の間でも賛否を呼んだ。感情的な厚みは薄いが、そのぶん「次は誰が、どう死ぬのか」という一点に集中させられ、恐怖と娯楽が直結する。
結果として、怖さと笑い、不条理とエンタメ性が混ざり合い、独特のカタルシスを生み出す作品に仕上がっている。クラシックな“呪いの玩具ホラー”をベースにしながら、ブラックユーモアとゴア表現で現代的にアップデートした快作。深いドラマ性を期待する人には物足りないかもしれないが、理不尽な死を笑いと恐怖で味わいたい人にはうってつけの一作だ。
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