ルノワールのレビュー・感想・評価
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自由奔放で空想がちな11歳小5女子の、ひと夏の冒険
1980年代。超能力、ルノワール、伝言ダイヤル。
自由奔放な11歳小5女子、ひと夏の冒険の輝き。
冒頭からの唐突なシーン。
時に大胆に、時に危なっかしく、時に底意地悪く。
「少年と犬」でも見た、主演の鈴木唯の魅力そのまま、それ以上に。
父親や友達の少女とのシーンがいい。
優しくない、明るくない、一般的な良い母親像と異なる終始不機嫌な石田ひかりの普通っぽさもいい。
今や旬の河合優実の衝撃的な語り、そして冒頭の泣き顔のビデオとの意外なつながり。
さらに、こちらも出演作目白押しの中島歩の起用もさすが。
相米慎二、田畑智子の「お引越し」を少し思い出した。
ひと夏の経験をした割には、少女の成長が感じられない
冒頭、主人公と思われる少女が絞殺されてしまい、「えっ、こんな映画なの?」と驚かされる。やがて、これが、少女の夢を作文にしたものだと分かるのだが、ここまでの掴みは上々である。
この主人公、この他にも「孤児(みなしご)になりたい」という作文を書いたり、超能力や催眠術に興味を持っていたりと、かなりクセのある少女なのだが、どうやら、それは、父親が末期のがん患者で、「死」というものを身近に意識しているからなのかもしれないということが分かってくる。
彼女の母親も、また、相当なクセ者で、最後は家族と過ごせるようにと家に帰ってきた父親を、面倒を見切れないと病院に送り返すは、部下に対するパワハラの嫌疑でグループセラピーに強制参加させられるは、その指導員と不倫関係になり、彼の妻にたしなめられるはと、とても子供のお手本になるような大人ではない。
と、主人公に限らず、結構個性豊かな登場人物が出てくる割には、物語がなかなか転がり出さず、いつになっても何の話なのかがよく分からないのはどうしたことだろう?
主人公の少女は、自分の住んでいる集合住宅で、朝、喧嘩別れしたまま、その夕方に転落死してしまった夫のことを話す女性と知り合うのだが、喧嘩の原因となったビデオが、冒頭で主人公が観ていたビデオであったことが判明するものの、そのビデオが、どういう経緯で2つの家庭で観られることになったのかが分からないし、その話を聞いて、主人公がどう思ったのかも描かれることはない。
同様に、主人公が、友達になった少女の家で、彼女がある写真を見るように仕向けるのだが、それが、何の写真なのかがよく分からないし、後日、彼女が転校していった理由も不明のままである。
主人公が、伝言ダイヤルに手を染め、そこで知り合った若い男に会いに行っただけでなく、彼の家までノコノコ付いて行くくだりは、観客をハラハラさせる見せ場になっているのだが、こうした軽はずみな行動は、とても「好奇心旺盛」といった言葉で済ませられるものでなく、どうして、こんな非常識なエピソードを盛り込んだのかという疑問を感じざるを得ない。この時は、たまたま難を逃れることができたものの、こんな性格なら、彼女は、いつかは事件に巻き込まれて、無事に成人することはないだろうとさえ思ってしまった。
魔術を使って母親と不倫相手の絶縁を祈願したり、父親と一緒に競馬を見に出かけたり、父親をからかう若者を蹴飛ばしたり、父親と手をつないで河原を歩いたり、父親の病気の回復のために教祖様の儀式に参加したりと、主人公は、父親のことが大好きなはずなのに、彼が亡くなった時に、あっけらかんとしていたところには、何を考えているのかよく分からない彼女らしさが出ていたとは思う。
ただ、それだけに、朝食の席に父親がいる夢を見て、涙を流していた彼女の寝顔には、グッとくるものを感じたので、こうした、彼女の心情が伺えるような描写は、もっとあってもよかったのではないかと思えてならない。
主人公が、迷い込んだ人けのない競馬場で、馬に向かって馬の鳴きまねをしたり、橋の上で雨に打たれていたところを父親に助けられたり、客船の上で外国人たちと踊りに興じていたりと、夢とも現実ともつかない描写も多く、それらが果たして必要だったのだろうかという疑問も残る。
結局、よく分からないことが多過ぎて、言いたいことも分からずじまいだったのだが、何よりも、少女のひと夏の経験を丹念に描いた割には、彼女の「成長」を感じ取ることができなかったのは、残念としか言いようがない。
なつかしい
あの頃は今よりも寛容で、でも差別的で、危ういものもいっぱいあった。
平成初期の遠慮のない、怪しい雰囲気がよく現れており、また鈴木唯さんも当時に馴染んだ小学生をしてた。
わたしも当時は小学生。当時、超能力や催眠術の真似事もはやった。サイババとかいたな〜って。
観客の年代によっても受け止め方は異なりそう、
無邪気と残酷の狭間の11歳
主役のフキを演じる鈴木唯の母親が石田ひかり、父親がリリー・フランキーで、そこに絡んでくるのが中島歩、河合優実、坂東龍汰、と当代切っての人気者ばかり。どう考えてもブッキングしすぎの河合優実でなくとも、何でこんなに同じ俳優陣がキャスティングされるのか?彼らが実力者だとは認めても、やっぱり全体的に層が薄いんだろな。まぁ、話題の俳優しか選択基準を持たない観客にもその一因はあるのだろうけど。(とは言え、レイトショーがほぼ満席になっていたのだから、マーケティング的には成功しているのだろう。)
でも、本作については、そんな俳優部よりも、『PLAN 75』の早川千絵監督作品というのが、自分としてはポイントが大きい。
11歳のフキは子どもと大人のちょうど狭間。見た目は子どもでも、実はシビアな目で周りを見ている。だからと言って大人からするとまだまだ危うい部分も多い。そして、子どもらしい「無邪気さ」は、実は、「残酷さ」と表裏一体で、大人たちの心の隙間に入り込む闇をフキは見逃さない。
優しい顔をしながら人を見下していたり、日常の鬱憤を家庭外に求めてしまったり、弱っているときに怪しげな商品や宗教にすがってしまったり…… そんな人々の世間様向けの顔と現実に直面しているときの顔の狭間の心の葛藤は『PLAN 75』にも共通するテーマのようにも思える。
なお、タイトルの「ルノワール」について、パンフレットの中の監督インタビューで「80年代当時、ルノワールをはじめとした印象派の絵がすごく流行していて、煌びやかな額装を施したレプリカを販売する新聞広告をよく見かけました。(中略)そういう西洋に憧れる気持ちや物を飾って満足してしまうような精神があの時代の日本を象徴している気がして」いると早川監督は述べていて、バブルの薄っぺらな時代に人間関係も希薄になっていったことが現代社会の諸問題の発端になったと示唆しているのではないだろうか。
岩井俊二監督ファンは見るべし
小学5年生のリアル
女子が主人公だけれど、男子でも「あの頃」の複雑な心の動きが
鮮明に蘇ってくる――そんなすごい作品。
何か大きな出来事が起こるわけでもなく、
ただ淡々と過ぎていく日常の中にある「リアル」。
この主人公の女の子の演技が、とにかく素晴らしい。
演技が演技に見えない。そこには、幼い頃の「リアル」が確かにある。
何もわかっていないような行動をとっていても、
意外と大人の話をちゃんと聞いていて、
大人が考える「子どもの自分」と、
自分が思う「自分」との間にあるズレを感じながらも、
それをうまく表現できない幼さ――
ともかく、この子の演技がこれほどリアルに映るのは、
彼女自身の女優としての素質はもちろん、
監督、カメラマン、照明、美術、ヘアメイク…
すべてのスタッフの力が結集しているからこそだと思う。
今年いちばん好きな映画になりそうです。
こんなに空気感のある映画はホントになかなかないと思う。。
哀しい を知った11歳の夏、世界は輝きだす
というコピーとポスター&チラシの写真から期待する
かわいくて瑞々しい魅力的な主人公
脇を固める華のある助演陣
ワクワクするストーリー
せつない物語
といったものは一切ない。
冒頭の泣いている子どもを延々と見せられるビデオが好きな人か、不幸な目になんてあったことがないという幸せな人は楽しめるんだろうが、
病んで老いた父親と歩いているところを同級生には見られたくないから隠れる
帰宅した自宅で自分の葬式で着る妻の喪服を見てしまう
不倫相手の妻に乗り込まれて前の相手はもっと若い子だったと告げられる
こんな不幸・不運・気まずいあるあるを2時間見せ続けさせられても、
そんなこと世の中には溢れているし、あらためて突きつけられても、そうですかって感じ。
お父さんとお母さんと学校の先生が年とりすぎていないか。
父親の死を悲しんでくれた英会話の先生がハグしてくれるところはよかった。
イオンさんも何をとち狂ったのか、「国宝」や「フロントライン」といった大ヒット中の作品や、同日公開の「28年後」を差し置いて一番大きなスクリーンで上映してたけど観客3人だった。
河合優実ちゃんが出てるし、初日に観に行ってよかった。来週はもう小さなスクリーンで上映回数も少なくなっているかもしれない。
人生って素晴らしい
素晴らしくて、素晴らしくて、
いつか終わりがやってくる
人生は一度きり🎵
って主題歌(英語)がエンディングに流れたけど、そんな映画が観たかった。
河合優実ちゃんと坂東龍汰くんが主役の爽やかな青春映画を誰か作ってくれないかな。
「どうして哀しいんですか?」人生の指針を示す人生最高の映画!
タイトルのフキが劇中で問いかけたこのセリフがこの映画の答えですね。自分が今まで観てきた映画の中でもベストの映画だと思いました。
他の邦画と比べても質が違いすぎます。光と影の使い方が素晴らしく、フキが自転車をこいでいく場面は名場面の一つです。
病に侵されたフキの父親は、詐欺に騙され、競馬に負け、財布を落としたり、若者にからかわれたり、人生てこんなものです。
しかし、フキはまだ若いので無限の可能性を秘めています。人生は下ばかり向いていてはいけない、しっかり前を向いていかなければ人生は好転しません。人生の指針を示す珠玉の映画なのです。
鈴木唯ちゃんのオーラが凄かったです。カンヌの主演女優賞逃したみたいですね。馬やヤギの鳴き声よかったです。今後も応援しています!
シンプルな映像と絵つなぎなのに・・・
過去の日本を舞台に、シンプルな絵で奇を衒うことなくカットで繋ぎきった映像は、至って普通で限りなく平坦であり、内容も劇的に変化するものでもなかったので、一見つまんなそうな作品でしたが、細かで繊細な内容が濃密におさめられていて、非常に興味深い作品でした。役者の表情や演技を巧みに捉え、それを見事なまでに筋の中にはめ込まれていて、かなり見応えがありました。
何が演技で何が本心なのか、分かるようで分からない・・・劇的な事柄が起こっているのに常に日常・・・喜怒哀楽も曖昧でいつも無表情でありそれに不安を感じるかのごとく何かしらの表現を試みる・・・なんていうものを観賞しながら感じていた気がします。
重ね重ね非常にシンプルだと感じつつも、編集や音楽の妙なんかも感じた作品でした。
鑑賞後に、感想が何も浮かんでこない虚無の時間
「少女のひと夏の冒険」といった内容でしょうか? その少女は、かなり癖のある子です。精神的に大人です。たぶん、映画で描かれている物語が始まる前も、両親を始め、ややこしい大人たちに囲まれて育ったのではないかと思います。
その少女が、父親の死を経験したり、周囲のややこしい大人たちと接したりするのですが、それによって、彼女が、どのような影響を受けたのかは、全くわかりません。もともと癖のある子なので、周囲から見たら「ひと夏の冒険」も、彼女にとっては、冒険ではなく、すべて想定の範囲だったのかも?と思ってしまうぐらい、わかりません。
監督さん的には、自分が描きたかった少女像を、十分に表現できていて満足なのかもしれませんが、はあ、そうですか・・・で終わってしまう映画でした。
欧州映画風日本映画
監督・早川千絵氏の少女時代の断片的な記憶や感性をコラージュ、或いは父の病を軸にストーリーづけした作品という印象を受けました。万人ねらいの商業映画ではなく、あくまで監督の感性のみの芸術作品であり、言い方悪いですが抑揚無く平坦で、言いたい事、感じて欲しいことは観る側に委ねられるような、遥か昔「映画通」の人が見るヨーロッパ映画を背伸びして観に行った頃を思い出しました。
中盤、ストーリーと関係無さそうな日本的映像や音楽が流された途端、「国際映画祭出典作品?」かと邪推してしまい、調べたらカンヌに出品されていたと知りました。そう知ると、ヨット上で踊るシーンも国際感演出のために無理に挟んだような印象。そのシーンの写真が映画チラシやポスターに使われていますが、物語通して主人公フキ(鈴木 唯)はあんな笑顔がしょっちゅう出る女の子ではありません。広告用のミスリードさせるショットです。
ここまでくるとタイトルの「ルノアール」もカンヌが行われるフランスと、日本を両方意識したかと勘ぐってしまい、ここはフキが夏休みで知り得た、経験した様々な事象からくる彼女の心境を表現した絵・画家(個人的にはルネ・マグリットとか、ジョルジョ・デ・キリコなどシュルレアリスム系)とした方が欧州の目から見る作品性も高まったのではないでしょうか。
余談ですが、撮影期間が長かったのかわかりませんが、鈴木 ”唯ちゃん”がだんだん鈴木 ”唯さん”に見えていったのは、演出の妙?それとも成長期だから? 特徴立った雰囲気はあったので今後に期待です。
ルノワールって相当タイトル負けしてる🦆
とある夏の出来事。
1980年代後半、癌を患い闘病中の父・圭司と、夫と娘を支えるため働く母・詩子と、超能力に興味あり、人の話はそっちのけ~な小学生女子・沖田フキの話。
超能力番組で影響され、出来た友人、近隣女性へ試す超能力、催眠術かけた体、留守番頼まれれば勝手に部屋を漁る手癖の悪さと見せるけれど。
少し計算ができ、良い子なのか悪い子なのか微妙な立ち位置、伝言ダイヤルを聞いては登録そして待ち合わせ、少し背伸びな年頃?を見せていくけど、何ともレビューが難しい…。
タイトル通り“とある夏…”的にまとめた方が無難なんですかね(笑)
とりあえず観てて思ったのは「用意周到」、まだ亡くなってないのに喪服の用意はともかく、物の処分と早くね?!と思った。
前インターネット時代
コレではカンヌ国際映画祭も頷きません
相米慎二監督『お引越し』リメイク早川千絵監督版。
そうとしか観えなかった。
予告篇を観てもそうだが、
まさか、
と思い、早川監督にインタビューする聞き手がお引越しを引用したという表現をしていたが、
都合のいい言葉だなあと呆れた。
引用。
確かに相米監督『お引越し』は登場人物が皆んな、不器用だが、根はいい人達である。
でも「ルノワール」の登場人物はなんだか皆さんイヤな人達だ。
こんな人達、見たくない。会いたくない。
主人公、人のウチのタンス等の戸を断りもなく開ける開ける開けまくる。
遠慮もない。
子供だということに甘んじている。
無神経は母親譲りか。
その母親はパワハラ管理職でクレーマー。
この監督さんは前作もなんだか冷ややかな人間模様を描いたが、あまり育ちにいいことがなかったのか。
本作はカンヌ国際映画祭のコンペに選ばれたというから興味をもった。
カンヌ国際映画祭にエコヒイキされている河瀨直美さんのように早川監督もか、
と予想したがコレではいくらなんでもエコヒイキできないのが正直なところか。
11歳の少女が見た、優しくて残酷な大人の世界
しょーごです
ルノワールがかわいそう
英会話の先生の表情だけが胸を打った。
イレーヌ嬢の絵に触発されて作った映画なのだろうが、この作品の題名に名前を使われるのは、ルノワールがかわいそうに感じた。
ただ、エンドロールの歌の字幕があるだけで、この映画の価値は随分上がったことだろうと思う。
単なるちょっと変わり者の小学生の夏休み。期待外れでした。
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