「透明な聖域」ルノワール ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
透明な聖域
少女は、誰にも超えることができない「聖域」を持っている。それは透明な膜で包まれている。それをおびやかす「大人」という外界。本作は、少女と外界との共棲がなんとも爽やかに描かれている。
身近な母親との関係で言えば、少女は、母親が思っている以上にひたむきに日々を送っている。歪な外界にさらされて、とても危なっかしくは見えるけれども。がんで余命いくばくもない父親との関係で言えば、ダートの地方競馬場通いの彼に連れだって、馬のいななきの物まねと馬の絵を無心に書く彼女なのである。
超能力に魅せられ、外界との凹凸を、超常現象によりたいらにしていく彼女。外界に魔法をかけることで、彼女の聖域を無意識に守る姿は、自然体で少しも背伸びがない。
明るく仲良く元気よくは外界が作った幻想。現実は、聖域に侵入してくるものに折り合いをつけながら、少女は日々をやりすごしていく。子供らしさのらしさに惑わされることなく。成長した先のトラウマをも飲み込むために。
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