劇場公開日 2025年6月20日

「「家族を持つ」働き盛りな父(母)は観るべき心締めつけられる家族ドラマ」ルノワール ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「家族を持つ」働き盛りな父(母)は観るべき心締めつけられる家族ドラマ

2025年6月26日
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鑑賞方法:映画館

がんを患い闘病中の父親と家計を担うため働く母親、そして小5の娘・フキの一夏の生活が描かれる家族ドラマ。

フキを軸に一家の生活を映し出すが、そこには治療の手立てがなく近いうち死が訪れる父親の現実が、家族3人それぞれに重くのし掛かり、いつもの日常を過ごそうとしながらも、どこか歯車が狂った不安定な日々を過ごしていく。

病を克服するため医療情報を漁り、さらに詐欺まがいな民間療法にも手を出す父親。
いずれ迎える夫の死を見据えて、一人で娘を育てる現実に、恐れながらも向き合おうとする母親。
そして、死の概念すらまだ理解しづらい子供にも関わらず、「父親の進行中の死」に直面しているフキ。

フキはその現実を受け入れられず、理解不能状態のまま、一見穏やかに日常を過ごすが、その内面は静かに乱れていく。本来、救ってくれるべき父親、母親も彼女と同じように、「死」を受け入れられていないから……。

家族と過ごすフキの「感情を抑制した表情」と、学校の級友と過ごすフキの「天真爛漫な表情」の対比は、幼いからこそ感情の発露が不連続である様が、とても切なく胸が苦しくなった。

さらに終盤、元気だった頃の父親と過ごすフキの表情は、とても明るく朗らかだったのが映し出されると、もう心が締め付けられて痛い痛い。

全編に渡って物哀しく心が締め付けられる、心痛極まりない作品でしたが、それは一重に「がん」によって家族が欠けてしまうことの悲痛さを物語っているとも言える。

観るものは自分ごとと感じて、がん検診を受けて早期発見、早期治療を心がけたい。本心。

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ヘマ
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