「少女の視点で日常の風景を描く」ルノワール 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
少女の視点で日常の風景を描く
カンヌのときに話題になっていたので、「どんな作品?」と興味が湧いた。
200館弱の上映で、思ったほどの公開規模ではなかったので、「どこでもいつでも見れる」わけでは無かったが、観賞スケジュール調整最優先作品として観てみた。
【物語】
舞台は1980年代後半、ある夏の郊外の街。多感で想像力豊かな11歳の沖田フキ(鈴木唯)の日常が描かれる。
会社員の父親沖田圭司(リリー・フランキー)は会社でそこそこの地位まで来ていたが、現在はがんに侵され、入退院を繰り返し、本人、家族とも快方の希望を持てない状況で日々過ごしている。家計を支える母親詩子(石田ひかり)は、会社では部下の指導をパワハラ扱いされ、家庭でも仕事でもストレスを抱えていた。
ふきはそんな大人達に囲まれながらも、周囲に押し潰されることもなく、自分の世界を生きていた。
【感想】
思ってたのとはちょっと違った。
メリハリの利いた感動ストーリーを好む人は肩透かしかも知れない。俺も観る前はもう少し物語らしい物語がある作品かと思っていたのだが、日常描写系の作品だった。少女の身の回りで起きる様々なことは、直面する少女にとっては大事件も含まれるが、他人事として大人が見れば「良くある話」ばかりだ。
それらの出来事が少女の目にどう映り、少女がどう受け止めていくかを描いた作品と言っていい。 そういう意味で、フキの言動のリアリティーがポイントになって来るが、鈴木唯は子供が持つ、可愛らしさ、純粋さ、多感さ、小憎たらしさ、危なっかしさを好演している。 つまり、特別な少女ではなくて、どこにでもいる11歳の等身大の少女がそこにいた。
確かに話題になった鈴木唯の好演は認めることができ、出来の悪い作品とは思わないのだが、俺的には心動かされる作品ではなかったかな。
ちなみに題名のルノワールだが、ルノワール画の特徴をググってみたら、「鮮やかな色彩と軽やかな筆致で、人物や日常の風景を生き生きと描いた」と出て来た。なるほど、そういうところを目指したのかと、納得。
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