「かなりふわっとした映画」ルノワール ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
かなりふわっとした映画
ちょっと期待し過ぎたのはカンヌコンペ作品だからだろう。予告編から相米慎二の『お引越し』味があちこちにみえたが、『こちらあみ子』の森井監督もそうだけどこの世代への圧倒的な影響力を感じつつ、早川監督としては前作『PLAN75』からまた大きく舵を切ってきたなあとある意味期待もあった。
『こちらあみ子』に比べても思ったよりスケッチ映画で、そのスケッチの一部分の、特に浦田秀穂の被写体に迫っていくところのカメラやロケ地の抜けの景色の良さがかなり魅力的ではあるものの、それが一向に連続性を持ったカタルシスに向かっていかない。どう繋がるかと思って前半観ていたら、ああこれはスケッチで終わらせるんだな、と思い、淡さの良さは感じつつ、映画としては物足りない。かつ描かれているエピソードのひとつひとつがかなり弱い。弱いのでスケッチにするしかなかったのではという気もしてくる。
おそらく監督の幼年期を彩る超能力番組、キャンプとYMO、テレクラ、両親の関係、すべてがゆらゆらとして不安で心をどこに置いていいかわからない感覚のエピソードがほぼ単発。そしてそれらがだいたい淡いというより薄い。そして面白みがない。主人公もいい子でも悪童でもない。主要登場人物はみんな両面がある。それはいいのだけどだからどうなんだ、というところに向かないふわっとした映画だった。が、『PLAN75』よりはいい。
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