「見る人を選ぶ作品」ルノワール Bigcatさんの映画レビュー(感想・評価)
見る人を選ぶ作品
クリックして本文を読む
共感できる場面も人物も最後まで全然出てこなく、私にとっては残念な作品であった。この映画の時代設定の頃に主人公のフキの歳と近かった世代の人間だと思うので、場面に出てくるブラウン管テレビや古めかしい冷蔵庫など、こんなだったなあと懐かしい感覚はあったが、理解できたのはそのくらい。今では手に入りにくいであろう、こうした貴重な小道具を多大な労力をかけて準備して、この時代設定にした必然性も特に感じられずもったいなく思った。あえて理由があるとすれば、伝言ダイヤル(今だとマッチングアプリ?)にまつわるエピソードをどうしても入れたかった、ということか。幸運にも、取り返しのつかない事件にまでは至らず終わって良かったが、フキはこの体験で何を感じたかも特に描かれていなかったように思われ、何のためのシーンだったのか理解しがたい。
予告編映像や「"哀しい"を知り、少女は大人になる」とのキャッチコピーが、この映画に興味を持ったきっかけだったが、フキちゃんがはたして、非行に走らず命も落とさず無事成年を迎えられたのだろうか。そういったことを想像させる場面も(私が見逃しているのでなければ)何も描かれていなく、後味悪いまま作品が終わってしまった。そういえば、タイトルに選ばれたルノワールも、内容との関係性があまり明確でないように思う。フランスの映画祭に出品するためフランス人画家の名前を冠した方が目をひく、ということかと考えざるを得ない。
演者や製作者の立場であれば、優れた見どころが多いのかもしれないが、そうではない私には合わない作品であった。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。