「【今作は、一人の少女が様々な死の匂いに触れ、命の尊さをぼんやりと感じながらも、ルノワールの如く周囲の大人たちの表情を捉えながら、悲しみを静かに乗り越え新しき生を踏み出す姿を描いた作品である。】」ルノワール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、一人の少女が様々な死の匂いに触れ、命の尊さをぼんやりと感じながらも、ルノワールの如く周囲の大人たちの表情を捉えながら、悲しみを静かに乗り越え新しき生を踏み出す姿を描いた作品である。】
■11歳の少女フキ(鈴木唯)は、末期がんの父(リリー・フランキー)と、看病と仕事に追われる母(石田ヒカル)と暮らしている。
フキは、父の死が近い事を何となく感じているのか、自分が首を絞め殺され自分の葬式の夢を見たりする夢想的な少女である。彼女は夫を自殺で亡くした女(河合優実)に催眠術を掛け、夫の死の話を聴いたりもする。
更に彼女は、仲の良い友達の父母の仲が破綻している事や、母のストレスなども感じている。そして、ある日、出会い系の電話で出会った青年(坂東龍汰)の家に行ったりもするのである。
◆感想
・一番印象的なのは、少女フキを演じた鈴木唯の不思議な存在感である。死に対する興味を持ち、冷静に周囲の大人の言動を大きな目で観察しているし、時には大胆な行動にもでるのである。
が、それが自然に見えるのだなあ。
・母は、ストレスからか自覚無き同僚教師へのパワハラにより行かされた研修の講師(中島歩)と、ファミリーレストランでのカスハラを行いながら、近しくなっていく姿と講師の顔を興味深そうにじっと見ている。
・フキは、人一倍感受性が豊かな女の子なのだろうな。だがその態度はどこか飄々としている。そして言うのである。”人が死ぬと、どうして哀しいの?”
そして、フキは思うのである。”大人って、完璧な人なんていないじゃん。お父さんだって、病気に付け込まれて100万円、騙し取られるし・・。”
けれども、彼女はそんな大人達を馬鹿にするわけではなく、只、彼らの表情を見ているのである。ルノワールが絵画を描く際に人を観察したように。
<そして、父はあっけなく亡くなり、(このシーンが映されないのが上手いと思う)母とフキは何事もなかったかのように列車に乗り、フキは観光先の太陽が降り注ぐ船の上で若者達と踊るのである。
今作は、一人の少女が様々な死の匂いに触れ、命の尊さをぼんやりと感じながらも、ルノワールの如く周囲の大人たちの表情を捉え、悲しみを乗り越え、新しき一歩を踏み出す姿を描いた作品なのである。>
こんばんは。
本作、賛否別れていますね。
私も不思議とフキの行動が自然に見えました。
そして父の最期もさらりと扱った演出も好みでした。
あのキービジュアルからは想像し難い内容でしたけど、あのイメージこそが監督の伝えたかったメッセージだったのかと思いました。
そして。。
「雪風」の告知。。
カッコ良かったですよ♡
だからNOBUさんじゃないからw
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