劇場公開日 2025年6月20日

「傑作に成り損ねた凡作」フェイクアウト! ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5傑作に成り損ねた凡作

2025年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

驚く

斬新

ドキドキ

IT企業で警備員として働く『誠人(三浦獠太)』は、
突然背負わされた亡き父の借金二千万円の支払いに窮していた。

そんな折、知人の『桝井』から
「勤務先の機密データを持ち出せば100万円払う」との提案を受ける。

依頼に応えた『誠人』だが、盗み出したのが
「超高精度AI株価予想プログラム」なのに気づき、
新たな取り引きを持ち掛ける。

激昂した『桝井』は『誠人』の妹『由衣』を誘拐、データとの交換を迫る。
妹を助けるため指定された場所へ向かうが、
そこには『桝井』の死体が・・・・。

ここまでの流れで、不自然な点は幾つも。

借金が背負わされた経緯やら、
その額に対し異常に低い報酬に乗ることやら、
『桝井』がパスワード類を知っていた背景やら。

しかし、データが持ち出される前に時間が巻き戻り、
違う人間たちの視点での物語りが始まる。

それで幾つかの疑問は氷解するが、
まだ十分ではない。

と、ここで物語は再び巻き戻り、
新たな人間たちの視点を盛り込み、三周目が始まる。

最終的には、主人公の兄妹を含め計五組が入り乱れ、
騙し合いが繰り広げられる。

視点が変われば見えるものも変わる。

脚本は練り込まれている。

一周目で不自然に感じた、或いは
疑問に思った点は、三周目が終わるまでに全て説明され
伏線も回収される。

が、逆に言えば全く同じ場面を三回見せられるということで、
編集での対応は不可能だったのだろうかと残念に思う。

何となれば、ほとんどの登場人物の演技が今だしで、
観ていても居心地が悪いことこの上ない。

なかんずく主演の『三浦獠太』は
何故にこの人をキャスティングしたかと制作陣の方針を訝るほど。

オーバーアクトが過ぎ、却って引いてしまうほどで、
これを繰り返し見せられるのはたまったものではない。

もう一つはスピード感の点。

繰り返される同一シーンは
間延びした印象も受ける。

もっとバッサリと整理をすることで
リズム感を出して貰いたかった。

時間を巻き戻す手法の多用はかなり安直な印象。

{コンゲーム}の傑作である〔スティング(1973年)〕は
七つのプロットに分かれてはいるものの、どのような構造だったか。

劇中多用される「ヒプノーシス」は、
これが無いと物語りが進行しないので、
仕掛けとしては許容。

もっとも頼り過ぎの感はありで、
異なる要素を持ち込めはしなかったか。

安直に流れるきらいは、
工夫が欲しかったところ。

妹の『由衣』が、入院中の主人公を見舞う場面では、
鑑賞者には伏せられた事実があり、
これが「レッド・ヘリング」として機能する。

上手く騙した(された)ものだなぁ、と
納得する構成要素ではある。

ジュン一
ジュン一さんのコメント
2025年6月28日

確かに(本当の)妹はぼんやりしており、
コメディで王道の愚兄賢弟を
(ニセの)妹でやるアイディアは斬新と思いました。

ジュン一
トミーさんのコメント
2025年6月24日

妹(本物)の方が天然で良かったですよね。メガネを使わなくてもかかっていた様な・・。

トミー