「数の暴力トンデモスケール」ナタ 魔童の大暴れ 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
数の暴力トンデモスケール
これはすごい。
アニメ世界興収一位は納得。
ほぼ中国の人口で数の暴力でとってるだろ!と思っていたがそもそも本編が数の暴力まみれのトンデモスケールなので、好みかどうかは個人差あるとして、これは中国でしか作れないものである、と実感した。
これの下品さに比べるとクレしんがかなり上品に感じるくらい、序盤から中盤はギャグがかなり下品。最初の白い餅みたいなやつを村人がこねるシーンの鼻水、でぶ師匠が食べている口の中をこれでもかと描写するセンス、小便入りの水、ゲロはき壺、ここら辺の下品なギャグの連続で嫌になる人もいるかも。おまけ映像までタコ殴り顔認証の暴力ギャグ含め。
ナタは本当に凄えスケールが大きくて、何もかもデカくて過剰ですごく面白いんだけれども、これはちょっとやっぱり多少の好みの差は出ると思う。
結果的に全世界のアニメ映画収入一位になって、それに続くのがインサイドヘッド2、ライオンキング、アナ雪2とスーパーマリオになるってことだけど、日本人はアナ雪やマリオの方が好きな人は多そうな気はする。
でもやっぱこの作品はすごい作品であることは間違い。
例えば兵士がたくさん集まって、木の葉みたいになるすごい絵図があるんだけれども、あの絵は日本だと発想すらしないんじゃないかと。
結構ちょっとした場面、例えば仙人のいる白い御殿のシーンとかもとにかくでかくて、あのスケールの大きさっていうのは、中国だからこそ成せる業だなっていう気がする。
中国人の感覚として原風景が広い土地だから必然的にあの空間の発想になるんだと思う。これは深海レストランや羅小黒戦記とかの他の中国アニメ映画でも感じた。
竹の上でバトルからの水中で雷に変身する敵に対して水中を全て凍らせて対抗する戦い方。
岩の姉ちゃんを倒したと思ったら岩山全体姉ちゃんになって襲ってくるスケール感。
ここら辺の見せ方も面白い。
ナタをなんであんなブサイクなデザインにしたんだろうと思ったが「醜くて呪われた凶暴な子供」の印象を強めて、「しかしそんなこと関係なく息子を愛する母」、そして「終盤に完全体になってイケメン化」までを際立たせる為だったのだと納得。イケメン化してから「あのブサイクな頃が懐かしいな」とまんまと思ってしまったので、あのデザインで成功なのだろう。
この題材を日本で作ると多分ナタのデザインはもう少し可愛い感じになり母親絡みで泣かせる場面が増えるんだろうなと思う。だからやっぱりこのノリ、勢い、スケール感は中国映画なんだな。
おそらくやるであろう次回作も一作目も日本で公開したなら観たいとは思えるほど力のある作品ではあった。
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