「ケイト・ウィンスレットが煙草を何本燻らすか数えて欲しい」リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 オパーリンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
ケイト・ウィンスレットが煙草を何本燻らすか数えて欲しい
リー・ミラー…WW2下、パリ解放やダッハウ強制収容所、奇しくもヒトラーが愛人と自殺した日の、彼のマンションの浴室写真を撮影した女性戦場カメラマン
アメリカでのファッションモデルから、アメリカ出身芸術家マン・レイの弟子兼愛人となり、(エジプト人実業家と結婚/ここは映画では割愛)、イギリス人ローランド・ペンローズと知り合い(後に結婚)、イギリスへ渡り、英版『VOGUE』のファッションカメラマンとなって、後に戦場で写真を撮り、写真をやめて料理人になって……というこの人ひとりで映画を3〜4本撮れるほどの充実した人生を歩んだ
この映画の製作には8年、脚本も3人担当したらしいが、彼女の人生の前半はバッサリ割愛されて、パリでマン・レイから独立したあたりから
冒頭は戦場シーンから始まり、時は遡って南仏か何処かの避暑地の享楽的なヴァカンスから始まる。ここのエピソードも割愛できそうな気もするが、ここで集っていた華やかな友人たち(マリオン・コティヤール、ノエミ・メルラン)が戦争中どんな目に遭遇したかを表現するためには、必要か
ケイト・ウィンスレットは冒頭から煙草をスパスパふかしまくり、再度見るときは何本吸ったかカウントしたいと思うほど。途中、戦場ではアルコールを手放せなくなる
年老いたリーが、若きジャーナリストからインタビューを受けるシーンが数回挿入されるが、インタビュー中でもストレートであおっている
(ここの老けメイクは、なかなかの出来)
やや薹が立ったモデルという設定の冒頭のシーンから、ウィンスレットの体形がなぁという意見には、やや同意。鈴木亮平さんのようにギリギリまで体形を変化してとまでは言わないが、さすがに緩み過ぎ
おまけに冒頭からやたら脱ぎまくる。まぁ代表作『タイタニック』でバストショット晒しているから、抵抗ないのかな…?
ストーリー構成には無駄がない(敢えて言えば冒頭の戦闘シーンはいらなかったかな)
ファッションカメラマンから、イギリス国内の戦意高揚写真、ゴリ押しして渡欧し、戦場カメラマンとしてアメリカの部隊と共にD-DAY以降のパリ解放に立ち会うことに
女性は差別的扱いをされ、女性兵士・看護師がいるような場所しか立入を許されず、それにいちいち立ち向かう戦闘的で直情型のキャラクターは、ケイト・ウインスレット本人の投影なのか、ハマり役でもある
パリ解放。歓喜に沸く市民はドイツ兵士と通じた女性を晒し者にして気勢を上げる。パリは彼女の知ってる町のようだが、もはや別の町。豪奢を極めた南仏で楽しく過ごした友人のアパルトマンを訪ね、そこでのコティヤールの演技はさすが
途中、放置され鍵をかけられた端が見えないほど長い貨車の中でユダヤ人が多数餓死しているシーンがある。リーはあまりの臭気に近づく前から鼻を覆うほどだが、その横の一軒の家の前で無邪気にボール遊びをしている母子がいる。去年見た『関心領域』の世界がそこにあった
そしてダッハウ強制収容所。死体が材木のように、覆われることもなく山積みになっていて…
練りに練られた脚本なので、パリ解放やホロコーストについて予備知識が無くても鑑賞できるし、最後に全く予見してなかったオチがつき、彼女の勇気ある足跡を辿る映画にうまく結着をつけてくれる
コメントありがとうございます。
白鯨とリーミラーにはそんな関係があったんですね、そりゃあ自分で演りたいですよね。痩せろ痩せろと言う人はもし、もう10キロ落としたのと言われたらどう返すんですかね。
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