「“役に立つ”より“楽しい”を」劇場版 米寿の伝言 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
“役に立つ”より“楽しい”を
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制作の経緯とタイトルの巧さに惹かれて鑑賞。
いや、入れ替わりものはもはや定番ではあるが、遺体とってなかなかないぞ。
冒頭のビデオレター撮影で、キッペイのおじいちゃん子をはじめ各キャラが掴みやすい。
関係性や立ち位置をさらっと描きながら、スムーズに入れ替わりへ。
さり気ないけど、この導入は見事だったと思う。
そこからのドタバタ劇は、緩急やメリハリもありつつ単純に楽しい。
キッペイ役の入れ替わり芝居、ヒトミの雑なごまかし、モノマネ大会、ウザ警官、元弟子の唐突な悪の組織ムーブ…
意外にも呑兵衛オヤジがコメディにもシリアスにもいい味を出していて素晴らしかった。
キッペイが彼女に語っていたというキョウヘイの“凄さ”が、家族想いなところかな?くらいで少し肩透かし。
敵の改心のきっかけが、結局“役に立つ”ことに起因してたのは勿体ない。
しかし届けられなかったビデオレターを見るシーンは、メタ的なインサートも相俟ってじんわりきます。
何より、低予算61分でこれだけ楽しませてもらえて満足度は非常に高い。
作品の中身と制作の経緯でテーマが重層的になっていて、決して身内ネタ作品ではありませんでした。
これ以上の“ファミリームービー”を、自分は知らない。
演者・プロデューサーとなるご家族が、お出迎え・お見送りどちらも立ってくれていました。
ひと言だけですが、感謝をお伝えできてよかったです。
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