「タイトルなし(ネタバレ)」秋が来るとき りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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パリでの生活を終えて、ブルゴーニュの森でひとり暮らす80歳のミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)。
娘のヴァレリー(リュディヴィーヌ・サニエ)とは確執がある。
原因は、ミシェルの過去にあるようだ。
秋の休暇、ヴァレリーは息子を伴ってミシェルのもとを訪れる。
ミシェルは、森で友人と採取したキノコを料理して振る舞ったが、そのキノコ料理をひとりだけ食べたヴァレリーは食中毒を起こしてしまう。
母不信のヴァレリーは、ミシェルが自分を殺そうとしたと騒ぎ立てるが・・・
といったところからはじまる物語。
母娘ものなのかなぁと思っていたら、展開は意外な方へ。
ミシェルは、友人の息子ヴァンサン(ピエール・ロタン)を可愛がっており、ヴァンサンもミシェルを母のように慕う。
母娘関係を修復したいと思ったヴァンサンは、ヴァレリーが暮らすパリのアパルトマンを訪れるが・・・
と。
いやぁ、この展開には驚きましたわぁ。
「良かれと思ってやったこと。良かれと思って生きていればのよ」というのがテーマ。
達観した人生観。
事件の真相は観客に任せられている。
物語的にはそれほど面白いわけではないが、随所にオゾンらしさもあり、感心しました。
まぁ顕著なのは、オゾンの婆さん好きの側面。
登場する老女たちに親しみをおぼえます。
演出的は、省略・反復が上手い。
反復は、列車での移動。
物語をくだくだしく描かず、登場人物が列車に乗ることで、描写を省略し、反復でリズムを出す。
尖ったイメージのフランソワ・オゾン監督だが、歳を経て、円熟味が出てきましたね。
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