劇場公開日 2025年8月8日

「恐竜映画の金字塔、新たなる冒険。」ジュラシック・ワールド 復活の大地 しゅわとろんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 恐竜映画の金字塔、新たなる冒険。

2025年8月8日
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鑑賞方法:映画館

興奮

ドキドキ

続編を繰り返し、広がり続ける「ジュラシック・パーク」「ジュラシック・ワールド」シリーズ。この映画の第一報を聞いた時の私の反応は「またか?」であった。前作にあたる「新たなる支配者」が、観たかった「恐竜との共存」をぶん投げ、謎のイナゴがほぼメインというあまりにもお粗末な出来であった為に、シリーズ新作に期待するハードルは地の底であった。しかし、監督は「GODZILLA(2014)」で一躍スター監督となったギャレス・エドワーズ、脚本は第一作のデヴィッド・コープ、さらに主演がスカーレット・ヨハンソンという豪華な布陣に惹かれ、期待と不安半々で劇場へと向かった。
……ハードルがかなり下がっていた事もあるかも知れないが、中々楽しめる1本に仕上がっていた。

前作から数年…恐竜たちは現在の地球環境に適応出来ず大幅に数を減らし、中生代の環境に近い赤道付近に一定数を残すのみとなった。
特殊工作員のゾーラは、大会社の営業担当マーティンから、とある計画への誘いを受ける。彼によれば、巨大な恐竜は個体によっては百年以上生きたといい、そのDNAサンプルを用いれば、心臓病の新薬が作れるというのだ。莫大な報酬金にも惹かれたゾーラは、協力者たちと共に「ジュラシック・パーク」の研究施設があったというとある島へと向かう。しかしそこは、陸・海・空を野生化した恐竜達が支配する魔境だった…。

恐竜たちが野生化した後の世界を本格的に描くのが本作である。その為恐竜たちは、テーマパークや人間の檻といったあらゆる枷から解き放たれ、大自然の中でやりたい放題に暴れ回る。画で言えば最も近いのは第一作だ。ある種の原点回帰と言えるだろう。
そんなシチュエーションの為、これまで以上に冒険物語の側面が強くなっている。そこでギャレス監督の演出力が光る。うねる尻尾だけをゆっくりと映したり、海面から鰭だけが見えていたり、煙の中から現れたりと、ギャレス監督が磨いた「巨大生物」の演出手法がこれでもかと活かされている。ケツァルコアトルスが、名前通りに古代遺跡に現れるシーンが個人的なお気に入りだ。またT-レックスやモササウルスのシーンは、まだ記憶に新しい「ゴジラ-1.0」を彷彿とさせるカットが多く、ゴジラファンとしても名高いギャレス監督ということもありニヤリとさせられた。

生物学的観点から観ても中々に興味深い。
今作のスピノサウルスは「III」と異なり、近年の研究に則った手足の短い姿となっていたり、新たな環境に適応する為に恐竜たちがまさかの行動をとっていたり、T-レックスが水を飲んだり眠ったりするなど、野生化もあってこれまで以上に「生物」としての恐竜の姿が見られるのが特徴的だ。

そしてストーリーだが、これもまずまず良かった。テーマとしてはかなり明確で、「利他の心」だろう。
最後に報われるのは、誰かの為に命を張った者。自分の利益よりも、皆の為になることを…。昨今の情勢などを鑑みても、中々心に響く物があるのではないだろうか。

また、音楽も素晴らしかった。これまでの「ワールド」シリーズのようなアレンジは控えめで、原点「ジュラシック・パーク」のBGMにかなり寄せたメロディーとなっている。また使われ方もオマージュが見られ、こういった面でも原点回帰の意識が現れている。

個人的には、この内容であれば後半の異形恐竜は居なくても成立するだろう…とも思ったが、この辺りは続編で掘り下げるのだろうか?綺麗に終わっているだけに、あまり無理に続編を出して欲しく無いところではあるが…。
「ジュラシック・ワールド」の復活作としては中々の出来だった。この夏に観るエンタメ映画の候補としては十分だろう。恐竜の存在感を感じるために、ぜひIMAXやドルビーアトモスといった、音響の良い劇場で観てほしい。

しゅわとろん
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