劇場公開日 2025年8月8日

「ジュラシックシリーズはどこへ向かうのか」ジュラシック・ワールド 復活の大地 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ジュラシックシリーズはどこへ向かうのか

2025年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

■ 作品情報
大ヒット「ジュラシック」シリーズの第7作。監督はギャレス・エドワーズ。脚本はデヴィッド・コープ。主要キャストにスカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ルナ・ブレイズ、デヴィッド・ヤーコノ、エド・スクライン。

■ ストーリー
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の出来事から5年後、地球上に散らばった恐竜たちは、過酷な環境に適応し、遠隔地の熱帯地域に生息していた。物語は、特殊工作員のゾーラ・ベネットが、新薬開発のため陸・海・空の恐竜3種からDNAサンプルを回収する極秘任務を遂行するところから始まる。彼らは、かつてジョン・ハモンドのインジェン社が恐竜製造の実験を行っていた、秘密裏に放置された研究施設がある島へと向かう。この施設では、過去の実験で生まれた失敗作の恐竜が隠されており、その存在が新たな脅威となる。 ゾーラたちのチームが命懸けのミッションに挑む一方で、バケーション中にヨットで大西洋を横断していたデルガド一家もまた、突如としてモササウルスに襲われ、決死のサバイバルを強いられる。全く異なる場所で、それぞれの命をかけた人間と恐竜の戦いが繰り広げられ、やがて彼らの運命が交錯し、人類が招いた過ちの代償が突きつけられることになる。

■ 感想
待望のシリーズ最新作、しかもスカヨハ主演ということで、期待を高めてIMAXで鑑賞してきました。この手の作品はできるだけ大きなスクリーンで観てこそ真価を発揮するというものです。

しかし、物語の幕開けを飾る、過去のずさんな事故描写には、正直なところ首を傾げてしまいます。最先端の設備に見えながら、まさかお菓子のゴミひとつでシステムが崩壊するとは、あまりにもお粗末で、この先の展開が思いやられる出だしです。また、恐竜の待つ島へ向かう動機も、説明が突拍子もなくてなんだかピンとこず、残念ながら説得力に欠ける印象です。

それでも、映画全体としては、恐竜パニック映画としての醍醐味が存分に味わえ、満足度は高いです。特に、スカーレット・ヨハンソン演じるゾーラ率いるチームの活躍や、恐竜に襲われるデルガド一家の命がけのサバイバルが、物語を力強く牽引しています。危機的状況の中で試されるチームの絆や家族の愛には、胸が熱くなる場面が多々あります。

恐竜たちの描写は、過去作ですでに完成されていると言っても過言ではありませんが、さらにその上をいく多様性とリアリティで、圧巻の迫力を見せつけています。IMAXの大画面で体験する恐竜たちの躍動感は、全身の毛穴が逆立つような興奮をもたらします。特に本作では海や川でのサバイバルシーンが多く、陸地以上の恐怖に呼吸困難に陥りそうです。

また、欲深い人間の身勝手な行動が、取り返しのつかない危機を招くというシリーズおなじみの展開とご都合主義の連続も、もちろん踏襲されています。主人公は必ず助かり、悪党は必ず食われるのはわかっていますが、結末を迎えるまでのハラハラするプロセスを楽しんでいるので、マンネリと思われる展開にも不満はありません。

一方で、遺伝子操作技術は、人類の未来を切り開く科学の進歩か、それとも神をも恐れぬ生命への冒涜か、といったテーマ性も感じられますが、踏み込みはもう一歩だったように思います。このあたりの掘り下げがあれば、さらに作品の奥深さが増したのではないかと感じます。

単純に恐竜パニック映画として極上のエンタメ作品ではありますが、鑑賞後ふと「これは本当にジュラシックシリーズと呼べるのだろうか」という疑問が頭をよぎります。シリーズの進化と挑戦を感じつつも、その根幹にある「畏れ」や「倫理」といったテーマへのアプローチには、今後の更なる深化を期待します。

おじゃる
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