「無駄にファッショナブル」アナザー・シンプル・フェイバー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
無駄にファッショナブル
リゾートアイランドで豪勢で裕福で外面としてはナイヴズアウトグラスオニオンやホワイトロータスを思わせるのに加え前作につづいてやたら衣装に凝っている。が、見た目に反しグダグダした展開でタイトル以外はツーのロジックを踏襲した。
前作レビューで原作をパトリシアハイスミスの孫娘が書いたみたいだと形容したが今作は原作者ダーシーベルが関与しておらず全体として後出しジャンケン感があった。
前作レビューにこう書いている。
目立ちまくる参加意欲。スベりまくる発言。小柄についで買いしたような原色服。淡カーキのスバルCrosstrek。ママ友向けに与太情報をブロードキャスト配信している。──ステファニー。
語尾のだらしない英語。芯が太く毒舌。被服業界の広報で富者、ポルシェに豪邸、男相関図は百戦錬磨、昼間からマティーニ。──エミリー。
がんらいシンプルフェイバーのおもしろみはこの違いすぎる二人の対比で成り立っていた。にもかかわらず今回どっちもタフな女になっているのが最大の興醒めポイントだった。
多すぎる登場人物をさばききれず、ひさびさに見たエリザベスパーキンスも生かされていなかった。
かえりみるにエリザベスパーキンスってひとは1988年のビッグ以外の映画での覚えがなく、ミリーボビーブラウンが出てきてそっくりさんということで名前がでてきたぐらい、なのにエリザベスパーキンスがクレジットにあるのを認めた時、ときめいた。出番は少なかったがやはり可憐な人だった。
ところでリゾートアイランドのコメディといえばDirty Rotten Scoundrels(1988)だと思う。邦題「ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ」。2019年にThe Hustleという題でリメイクされ、レビューを書いた。
『1988年の映画にペテン師とサギ師/だまされてリビエラというのがありました。
私はその映画が大好きでした。原題はDirty Rotten Scoundrels、監督がフランクオズ。
詐欺師弟をマイケルケインとスティーヴマーティンがやってて、彼らを逆スカムするのは2017年に急死してしまった女優Glenne Headlyでした。
この映画は、その性変換バージョンです。それも、筋書きからシークエンスの構造にいたるまで、そっくりに作った変換バージョンでした。
私は前述した映画のスティーヴマーティンの演技に、映画館の中にもかかわらず、大爆笑してしまったことを、よく覚えています。あとにもさきにも、映画館内であれほど笑ったことはありません。
だから私はこの映画をVHSでもDVDでも持っていました。』
羽目を外すことからおこるコメディorサスペンスorミステリーへもっていくのがリゾート舞台映画ドラマの真骨頂だが当然観衆に旅行気分も提供してくれる。じぶんはどこかへ旅行したいという欲求があまりない人だがリゾートを舞台にした映画やドラマにはそそられる。
現代では旅行へ行ったとて何かの待ち時間か混雑によって不首尾に陥るのが関の山。リゾートを舞台にした映画ドラマで行った気になっといたほうが楽でお金もかからない。
imdb5.3、rottentomatoes66%と41%。