「運命の人の嘘」コンパニオン なつ F列さんの映画レビュー(感想・評価)
運命の人の嘘
湖のコテージやキャンプ、別荘なんてホラーしてくださいの設定でワクワクが止まらない。
オープニングはポップなピンクに血痕がパラリ。
舞台は友人の待つ豪華な別荘へ。
集まったのは6人。金持ちで傲慢そうな家主と愛人キャット、イーライと恋人のパトリック、そしてジョシュとアイリス。
アイリスはキャットと仲良くなれるか心配そう。
1人湖に行くアイリス。そこへ例の家主が現れ揉めてる最中に彼を殺害してしまう。
血塗れで別荘に辿り着いたアイリスに向けてジョシュが「眠れ」の一言。彼女は白目になり止まってしまう。
あー、ロボだー、しかもエロボットっととか言われてる。科学の進歩って怖い。
彼らはロボットのアイリスを使って家主を殺害し、すべてアイリスロボの暴走による物とし大金を巻き上げる予定だった。そのために違法装置で暴力性まで上げて。
縄で固定したアイリスにお前はロボットだと告げる。全ての記憶は植え付けられたもの、あの一目惚れも作られた記憶…この時もうジョシュはアイリスの事を愛しい恋人ではなく「お前」と呼ぶ。やはりクズ男だった〜
しかし、彼女は受け入れられない。彼女の全てはその設定、記憶で作られているから。その設定があるから彼女は彼女として生きてきたのだ。
ジョシュのスマホを手に逃げ出すアイリス。
そこでロボである自分を確認する様にスマホを探る。
変わる目の色、変わる言葉、そして知能指数は40…肩を落として彼女は笑う。40て…40て…ちょっとおバカなエロボットではないか。クズ男め。
ギュギューっと100まで押し上げ、目を開く。
アイリス無双が始まるかな?とワクワクするが、逃亡ルート検索ばかりでなかなか使えない。
その間イーライとパトリックはアイリスというエロボットの存在に2人の愛を確かめあっていた。いやお前もロボかーい!彼は新型エロボットが出ても頑なにパトリックを愛し続けていた。
イーライはアイリスによって殺害、パトリックはイーライの遺体を抱きしめるだけ。
そんなパトリックにジョシュは自分の駒にする為に彼のコードを上書きする。パトリックの中にあったイーライとの運命の人を無理やり自分の物にしたのだ。ひどすぎる!
ついでに攻撃性MAXになったパトリックは易々と彼女をボコり連れ戻す。この辺は悲しいかな、同じロボでも男女差があるのかアイリスは全く敵わない。
パトリックはアイリスを尋問していた保安官もついでに殺害し別荘に戻る。
お金を持ち逃げようと逃げるキャットをジョシュは殺害。
愛しい人に逆らわず、嘘もつけず命令を聞くロボット達についた嘘によって話は拗れに拗れて自体は大事に。
刺されたキャットは眠るアイリスの隣りに座って行き絶える。これは序盤で女同士、男にとっての立ち位置について語らっていたソファ。アイリスがエロボットだと知っているキャットと愛人の自分。男の都合で扱われた女性としてとても印象的。
目を開いたアイリスのテーブルの先にはジョシュ。
そこで彼女はジョシュの卑屈で矮小な人間である事を述べる。一緒にいたのだから記憶してるよね。
ジョシュがエロボットレンタルに行った時、ソワソワと規約も読まずサインし連れ帰ったアイリス。
殺風景な部屋でテーブルは乱雑。そこにもう待てないと言わんばかりに甘酸っぱい運命の出会いを植え込みすぐ致す。
ジョシュ…お前…
彼女の知能を0まで下げて手のひらに蝋燭をあてる。そんな事で意趣返しとはとことんお前は…遠くでじっと見ているパトリック。
自分で頭を撃てとの命令、逆らえない、引き金を引く瞬間小さくノーと呟く。彼女が逆らった!と期待したのだがやはり撃ち2人の回収業者が回収。その際、メモリが残っていると伝えられジョシュは再び彼らを襲わせる。
パトリックと対峙した彼女はイーライの事を思い出す様に告げる。深く深く心の底から愛してくれたイーライ。確かに感じていた彼の愛。ジョシュから上書きされた一目惚れの瞬間を取り戻す。愛する人を失ったパトリックは自死する。命令ではなく己が愛故に行った事。ロボットの自我。人とロボットが愛し合う事ができたという、散々ジョシュの汚い所を見ていたので清涼剤となった一瞬。
そして彼女は生き残った業者にすべての装置を外して完全にフリーな状態となる。
命令にも従わず、嘘もつける。人に危害もできる。
エロボットが自由になった。
最後まで愚かだったジョシュ。そんな彼を「眠れ」散々言われたかわからないワード。めんどくさくなったら唱えるワード、これを使って止めを刺す。
大金を詰めた鞄を持ち赤いスポーツカーで走り出す。
焼けこげた右手だけが皮膚が溶けギラリと光るメタルになる。隣り合う車に敢えてその手で手を振り彼女は自分の意思で自由の先へ晴れやかに走る。
何故ロボットに一目惚れの運命の人展開を植え付けがちなのか。
この作品がDVDスルーなのが勿体無い。