配信開始日 2025年4月25日

「あー、もう滅茶苦茶だよ!!!」ハボック ガッキーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5あー、もう滅茶苦茶だよ!!!

2025年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

斬新

非常に面白かった。
いかにも「ザ・レイド」のギャレス・エヴァンス監督らしい、壮絶なハードアクションだった。

ストーリーは、登場人物が結構多く、裏切りや思惑が絡み合うややこしさはあるものの、
アクションの支障になるほどでは無かったと思う。

特にメデューサ(クラブ)でのアクションは白眉。
まず、ウォーカーがその建物に入るまでを約2分のワンカットで映すことで、
これから何かが起こりそう、という不穏な予感を抱かせる。

そして案の定、いったいもう何巴だよというほどの派閥に分かれて激戦が繰り広げられ、

わらわらと刺客が襲いかかってくる中で、肉弾戦、包丁、鉄パイプ、銃撃など、
方々で様々なアクションが同時進行で畳み掛けられる展開は、アクション映画的な大きな感動を覚えた。

そのアクションのバイオレンスさときたら、血飛沫の満漢全席のような凄まじさで、
銃撃で人体が顔から体まで蜂の巣になったり、ゴア描写の強烈さもエヴァンス監督らしい。

この容赦のない暴力描写の感じは、どこか韓国映画を思わせる苛烈さがあり、
肉切り包丁を使ったアクションなんて正にそうで、
或いは映画の「アシュラ」を思わせた(あれも同じく悪徳刑事が主人公だった)。

銃撃の直後の銃を相手の額に押し付けた後、熱によって額に銃の丸い痕が残るなど、芸も細かかったし、

また、ニードルガンのような釣り針の銃を、ああいう風に使うというのはフレッシュに感じた。

キャストは、主演のトム・ハーディが良かった。
汚職に手を染め、身も心も疲弊しきっている刑事。

家族のため、自分のため、己の過去と向き合うという、
選択を誤ってきた男の悔恨のドラマとなっている。

このキャラクターは、同じくトム・ハーディ主演の
「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」の主人公に近いような気もした。

ウォーカーをはじめ、ツィの母親のフォン、チャーリーの父親のローレンス、ミアの叔父であるラウル、
それぞれの色々な事情を抱えた立場からの、“親”としてのドラマを描こうとしていたのも良かったと思う。

不満点としては、スローモーションの演出が下手に感じてしまった。
スローなんて使わずに、もっとこうスピーディーにバキバキッとアクションを見せてほしかった。

総評。
昨今では意外と珍しい、ストレートなバイオレンスアクションだった。
いわゆる痛快系のアクションではないが、このエクストリームなテイストは好きな人は絶対に好きだと思う。

ちなみに107分の映画だが、
エンドロールがかなり長く、それを除くと実質97分というコンパクトさも良かった。

ガッキー