配信開始日 2025年4月25日

「息つく暇のない無呼吸アクション」ハボック 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0息つく暇のない無呼吸アクション

2025年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

タイトル通り、ある種の「混乱」を経て撮影から4年をかけてようやく世に放たれた本作は、傑作『ザ・レイド』で旋風を吹かせたエヴァンス監督が故郷ウェールズ(アメリカの工業都市風な見た目だが)で撮り上げた意欲作である。警察、マフィア、窃盗犯、政治家などが入り乱れ、恨みを増幅させながら殺し合う。トム・ハーディをはじめとする善悪の境界線上で漂うキャラクターたちの死に物狂いの総当たり戦といった印象が強く、キャスティングや設定などからはこれまで以上に物語や人間模様に厚みを持たせようとした爪痕が伺える。しかしながらエヴァンス流のアクションは一旦ギアが入るとボルテージのたがが外れ、無尽蔵に天井を突き破る。結果的に、キャラ、ストーリーの面では物足りなさが残るも、その分、いつもながらの息つく暇がないほどの無呼吸アクション芸術が達成されている。これはこれでエヴァンス監督にしか描けない表現手法として評価したいところ。

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牛津厚信