配信開始日 2025年4月25日

「凡事徹底」ハボック 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凡事徹底

2025年5月3日
iPhoneアプリから投稿

シナリオはアクションプロットを侵食しない程度に、
登場人物それぞれのアキレス腱のような存在、立場、状況を、
シーン建て不要のレベルで薄く張る。

映像面では、
ライティングや画質のテクスチャーが独特の世界観を構築している。

路面に積もる〈雪〉のような物質は、
シーンによってはガラスにも氷にも見える、
まるでこの物語の荒廃した世界を象徴するような異質な質感を持つ。

この細やかな仕事が、作品全体に独自のリアリティを与えている。

粒子の粗い画質もまた、現代的でクリアな映像とは対照的に、
どこかノスタルジックで生々しい雰囲気を醸し出し、
物語の重厚感を増幅する。

トム・ハーディとフォレスト・ウィテカーは、
それぞれが演じる極限状態にある人物を、
時に極めて脆弱に、
時に圧倒的な暴力性をもって演じ切る。

まさに「極いい奴」と「極悪」の両極端を自在に行き来できる彼らの演技力は、今更言うまでもないだろう。

ルイス・ガスマンのような脇役、
他に例を挙げるならマイケル・ペーニャ、
ジャン・カルロ・エスポジトのような役者を、
上手に使って、
作品を主役を引き立てる監督は上手い監督が多い、

日本で例えると、
北村一輝、酒向芳か、

凡事徹底、細部まで徹底している。

次はMCU、DCEUと噂だけは先行してはや数年、
さまざまなオファーは来ているらしいが、
監督本数が少ない事が気になる。

中国のサム・クワー、
ポーランドのミハウ・ガズダ
各国の凄腕監督の次回作は必見だ。

蛇足軒妖瀬布