「イタリアの往年の特急セッテベッロが出てきた!」ジェイ・ケリー 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
イタリアの往年の特急セッテベッロが出てきた!
有名俳優ジェイ・ケリーと彼の忠実なマネージャー・ロン。単なる楽屋ばなしと思って見始めた。しかし、それは違っていた。最初の屈曲点は、ジェイが演劇学校時代のルームメイト・ティムと再会したことにある。栄光に包まれている俳優ジェイが、旧友からその実像を突きつけられる。翌朝、次回作の約束をすっぽかした彼は、秋の大学進学を控えて、卒業旅行に出かけた次女デイジーの後を追って、LAからパリに出かける。口実は、一度は断ったはずのトスカーナで開かれる映画祭での功労賞受賞式への出席。
小型ジェット機をチャーターして、チームと共に乗り付けたパリの空港で、早速方向転換し、大型のSUV数台でセーヌ河畔を走ってリヨン駅に駆けつけ、トスカーナに電車で乗り込むことにする。ここまではテンポも良かった。最初に乗った二等車では、乗客たちとすぐになじみ、むしろ俳優としてのジェイと、人知れず孤独に悩む人間ジェイとのギャップは一度消える。ヨーロッパの良さが出たのだろう。
ところが、ここからチームのメンバーが一人一人消えてゆく。まずリヨン駅で、専属の理容師がフランス大統領の許へ。イタリアに入国して、かの名車セッテベッロに乗り換えると(この辺からエンドマークまで、映像がノスタルジックになる)、長年の広報担当者リズがアシスタントと共に去る。彼女はロンのパートナーでもあった。最後はロンまでもが。
若き日には全く想像できなかったが、歳をとると本当の孤独に苛まれるようになり、それに伴う寂しさと不安を覚える。この映画に出ることに同意したジョージ・クルーニーは、それを知っていたと言うこと。ミステリーもアクションも、ロマンスもない映画をハリウッドが作る日が来て、ジョージ・クルーニーが出てくれるなんて。
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