「これほど胸を揺さぶる作品に仕上がるとは」フランケンシュタイン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
これほど胸を揺さぶる作品に仕上がるとは
奇才ギレルモ・デル・トロを幼少期から魅了し続けた「フランケンシュタイン」の物語が、ついに自身の手により予想を超えて美しく、胸を打つ大作として生まれ変わった。独自の解釈や脚色はあるものの、ストーリー構造的にこれほどメアリー・シェリーの原作に近いものはかつてなかったかもしれない。2世代にまたがり繰り返される父子の確執と衝突。あるいは狂気的なまでの創造の希求によって引き起こされる終わりなき絶望。主軸を成すアイザック&エロルディの壮絶なやりとりからも目が離せないが、言語と知性を培ったクリーチャーが自らストーリーを語り始めるときの深淵さたるや計り知れない。なおかつ、そこで一人の老人によってもたらされる愛情や「赦しと忘却」というテーマには、ゴシックホラーの範疇にとどまらない崇高さを覚える。AI時代の写し鏡として、そして数々のクリーチャーの創造を経てきたデル・トロ自身に重なる物語としても興味は尽きない。
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