劇場公開日 2025年10月24日

「「フランケンシュタイン」はドンキでもハロウィンの時期にお面が売って...」フランケンシュタイン クラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 「フランケンシュタイン」はドンキでもハロウィンの時期にお面が売って...

2025年11月26日
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「フランケンシュタイン」はドンキでもハロウィンの時期にお面が売っているが、実際に原作を読んでいる人々はいくら居るのだろうと考えた事がある。小学生の時に原作を読み、何と哀しい物語なんだと思ったが、正直細かなストーリーは覚えていない。
ただ、改めて思った。人間と怪物はどちらが本当にバケモノなんだと言う事だ。冒頭の怪物による襲撃シーンは確かにバケモノであると誰もが認識するだろうが、彼の心は繊細で、純粋なのである。

主人公のヴィクターがもう少し怪物に対して対等に接していたら、彼は物凄く穏やかで中立的な立場の存在になっていたはずだ。その証拠に、あそこまでされても粗暴な事はせずに、素直に過ちを認めたヴィクターを許したのだから。ヴィクター自身は研究による名声の為に怪物を作り出し、死んだ人間も放っておいて研究に没頭していたのだから、どちらがバケモノなんだと言いたくなる。

2時間半の本編で、登場人物らが過去何があったのかを船の船長に話すと言う所から第1章、第2章となっていくのだが、幼少期のヴィクターも丁寧に描き、いかにして天才でありながらマッドサイエンティストになったのかが描かれる。怪物の章では、ヴィクターと別れた後に人間の心優しさや、残酷さ、自然の摂理として相手動物を喰らうという、「怒りという感情以外の暴力や殺害」という事も学ぶ。アダムとイヴから始まる「人間の誕生」から、自分は何者なんだという自問自答になり、自分が"無"から生まれた怪物であるという事を知って愕然とする。本作を"ホラー映画"として観ると全く違う印象になるはずだ。時折ヴィクターの脚が千切れかかる程負傷したり、人の顎を引きちぎるシーンとかもあり、若干過激な表現もあるものの、ホラーという世界で人間の愚かさ、生命、などにまつわる社会的なテーマがあるという事を忘れてはいけない。

不死身という事から、一生を孤独で過ごしたく無いという人間の様な感情の下、ミア・ゴス演じるエリザベスとの出会いから、恋心を抱くまで、とても丁寧に描いている。
研究のシーンなどはまさにギレルモ・デル・トロ監督の世界観そのままであり、より不気味さが際立つ演出になっている。あのカラフルでハイテクなのかローテクなのか分からない微妙なデザインの機器類など、過去作でも観たデル・トロワールド炸裂である。彼の作品は毎度観るたびに映画オタクが作った映画なんだと思うが、特に本作は色濃く出ており、それが世界観を邪魔する事なくむしろよりどっぷり浸かれるくらいの印象だ。個人的には「シェイプ・オブ・ウォーター」よりも感情移入出来た気がする。

鑑賞後にデル・トロ作品を無性に観たくなるのだが、しばらく余韻が残りそうである。

クラ