劇場公開日 2025年10月24日

「哀しい」フランケンシュタイン ゆみなさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 哀しい

2025年11月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

想像以上に美しくて哀しい物語だった。

前半はヴィクター(オスカー・アイザック)の語りで死体を繋ぎ合わせて命を生み出す男の狂気を描いて、後半は怪物(ジェイコブ・エロルディ)の語りで自らの存在に苦悩し孤独に苛まれる悲しみを描いている感じかな。前半と後半でだいぶトーンが違う。私は後半が好き。

怪物が生まれた瞬間のヴィクターの喜びは確かに真実で、初めて名前を呼ばれた時の表情はまるで子を見守る親のようにも思えたのに、結果を求めるがあまり彼が怪物を失敗作だと認定してしまうのが切なかった。子供の頃の父親との関係性の悪さがしっかり受け継がれていて、愛することもできず創造の責任を放棄する。自分のエゴで命を生み出したのに、生まれた後は何もできないとか無責任にも程がある。

エリザベス(ミア・ゴス)の登場シーンが素晴らしい。青いドレスに身を包み、頭蓋骨を手にして立つ姿。どこか不穏でありながら一瞬で虜になる美しさ。彼女は怪物に寄り添い愛を与える存在。

怪物は盲目の老人との関わりで知性を手にし、そして孤独と向き合い自らを創造したヴィクターに復讐心を抱くんだけど、最終的には彼に赦しを与えるんですね。死ぬこともできずに永遠の孤独を受け入れる怪物。切なかった。そして、ちょっと長かった。

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ゆみな