劇場公開日 2025年10月24日

「愛を求める怪物と創造主の罪」フランケンシュタイン bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 愛を求める怪物と創造主の罪

2025年11月11日
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鑑賞方法:VOD

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ルーマニアのドラキュラ、アメリカの狼男と並ぶ、世界3大ホラー・モンスターのフランケンシュタインを、ギルモア・デル・トロ監督が、Netflix配信用に新たに手掛けた話題作。ギルモア監督は、これまでにも『シェイプ・オブ・ウォーター』や『クリムゾン・ピーク』等、ちょっと不気味なモチーフの中に、確かな映像美を追求し、そこに愛情劇や人間ドラマをしっかりと入れ込んで、アカデミー賞をも受賞した監督。そんな彼には、全く持って相応しい題材となる本作。随所に、ホラー的なグロさも混じえながらも、終わってみるとヒューマンティックな余韻を残す作品に仕上げている。

『フランケンシュタイン』とは、モンスターの名前でなく、それを創り出した博士の名前であり、本作でのそれは、単に『怪物』と名付けられて登場している。その為、他のモンスターとは一線を画す、人造人間として位置づけられる。それによって、悪魔的な絶対悪のモンスターではなく、人間の心を宿しながらも、その容姿の醜さ故に人々に嫌われ、孤独と悲哀を漂わせる存在となっている。これまでにも数多くの『フランケンシュタイン』映画が製作上映されてきたが、1994年のロバート・デニーロ主演の作品のラストシーンでは、心揺るがし、胸が熱くなったことを記憶している。

本作は、自分を生み出したビクター・フランケンシユタイン博士の裏切りへの復讐を果たそうと、北極の地まで追いかけてきた怪物が、ビクターを襲うシーンから始まる。そこに、氷で閉ざされて航海不能となった輸送船が居合わせ、ビクターを助けたことから、輸送船員達も怪物に襲われていく。物語は、その輸送船の船長に、ビクターと怪物が、それぞれの視点で語られるシーンが描かれた、2部構成の作品となっている。

前半では、悲観した幼少期を過ごしたビクターが、自分の欲望に駆られて怪物を生み出すまでの経緯を語っていく。後半では、怪物として生まれた切なさからの存在意義や、愛するとは、人間とは何かを問いかけてくる。また、そこに『シェイプ・オブ・ウォター』でも扱った、怪物と人間との禁断の愛も交えることで、より人間臭さい愛憎劇を盛り込んでいる。但し、ストーリーとしては、オーソドックな『フランケンシュタイン』作品となったており、それほどの斬新さは感じなかったし、死体を繋ぎ合わせた怪物の身体が、色白で美しく映し出されていたのは、ギルモア流の演出なのだろう。

主演のフランケンシュタイン博士には、グアテマラ出身のオスカー・アイザックが猟奇的な博士を熱演している。怪物には、お初の俳優さんで、オーストラリア出身のジェイコブ・エロルディが務めている。また、フランケンシュタインの弟の婚約者役には、『Pearl』や『X』のホラー映画でブサカワいいと評されたミア・ゴスが演じていた。

bunmei21
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年11月11日

お邪魔します。
私もデニーロ版を脳内参照しながらみました(あのボナム・カーターはちょっとやりすぎ?)。誰も悪くないのに皆が不幸になるという重さは格別で,「地獄への道は善意で舗装されている」という箴言を思い出したりしました。
本作では人間が叡智を結集して創り出した(はずの)ものとして,AIのメタファーみたいにみえました。AIは良心や正義や愛を持ち得るのだろうか?などと内容を外れて考えてしまいました。

ひろちゃんのカレシ