「美しくも悍ましい装丁の文芸ゴシックホラー」フランケンシュタイン シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
美しくも悍ましい装丁の文芸ゴシックホラー
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B級ホラーの誉れ高いハマー・プロの『フランケンシュタインの復讐』、メル・ブルックスの爆笑コメディ『ヤング・フランケンシュタイン』、ケネス・ブラナーのシェイクスピア風『フランケンシュタイン』と、様々な切り口の映画を観てきたけど、構成、映像、美術、衣装、キャラクターの造形までガッチリ隙もなく作り上げたフランケンシュタインものの真打ちとも言える作品です。監督のギレルモ・デル・トロは、冒頭の北極海のスペクタルなシーンで作品世界に一気に観客を引き込みます。一転して、主人公のヴィクターの屈折した幼年期を丁寧に描き、さらに彼の歪んだ人格形成とその後の狂気に満ちた実験に邁進していく様子を、時折りグロテスクな描写をはさみながら見事に描いていきます。また、生み出された怪物が自我と知性、そして人間性に目覚める設定も素晴らしく、作品としては創造者と怪物、父と息子の関係に例えた、近親憎悪と赦しのドラマのように思いました。役者では、オスカー・アイザックが、傲慢で嫌悪感すら感じさせるヴィクター像を演じ切っています。怪物役のジェイコブ・エロルディの、ただの有機物から知性を備えるまでの繊細な演技に感心しました。次回作が、なんと『嵐ヶ丘』のヒースクリフとは、期待大ですね。怪物ヴィクターを生み出す父親役は、フランケンシュタイン博士役で有名なピーター・カッシングのような風貌だったけど、名優チャールズ・ダンスでした。
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