劇場公開日 2025年10月24日

「ゴシック小説の古典「フランケンシュタイン」を基にしたダーク•ファンタジー ギレルモ•デル•トロ風味たっぷりでそこそこ楽しめるが 新鮮味はない」フランケンシュタイン Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ゴシック小説の古典「フランケンシュタイン」を基にしたダーク•ファンタジー ギレルモ•デル•トロ風味たっぷりでそこそこ楽しめるが 新鮮味はない

2025年10月27日
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鑑賞方法:映画館

場内が明るくなって劇場の椅子から立ち上がり、家路へと歩を進めかけたときに脳内に「訓詁学」という単語が浮かびました。半世紀ほど前、私がまだ大学生だったころ、ゼミでどんなテキストを使うかを議論していたときに、学友のひとりがある古典的テキストを評して「ゼミでこれを読み進めてゆくと訓詁学のゼミになってしまう」とか言っておりました。調べてみたら、訓詁学とは元々は儒教の経典にある難解な語句を解釈したり、説明したりする学問だそうです。この映画もメアリー•シェリーが今から200年以上前に書いたゴシック小説の古典「フランケンシュタイン」の古典的解釈に基づいているということで、私の脳内に訓詁学なんて言葉が浮かんできたのでしょうか。

この「フランケンシュタイン」、私、実は原作を読んだことがないのですが、未読なのに読んだ気になっている小説のひとつです(同様にして、観たことがないのに観た気になってる映画なんてのもありますが)。この作品が紹介されるたびに出てくる耳タコ話題ですが、フランケンシュタインというのはあの怪物を造った科学者の名前で、怪物自体は名無しなんですよね。「フランケンシュタイン•コンプレックス」という言葉があります。科学技術によって人工的な生命体を生み出すことへの憧れと、その生命体が自分たち人間を滅ぼすのではないかという恐怖、その二律背反するふたつの感情が混ざり合った複雑な心理状態を言います。この部分が、今でも AI の開発時に当てはまりそうな感があり、この小説が発表から200年以上もたった今もなかなか賞味期限が切れない要因だと思います。

上記のフランケンシュタイン•コンプレックスがいわば造物主側のキーポイントだとすると、造られた側の名もなき怪物のキーポイントは永遠かとも思われる生命を授かった者の悲哀と孤独ということになるのでしょうか。この映画内では「無慈悲な生」とかの言葉が出てきました。おまけにあの醜い姿です。出会った人々のほとんどがその姿に恐怖を感じ、逃げまどったり、攻撃をしてきたりします。でも、心を通い合わせることのできた人もいたんですよね。エリザベス、山小屋の爺さん…… 愛に飢えた怪物の究極の選択が永遠に続く孤独のように思われたのには涙を禁じ得ませんでした。

最果ての地、北極には今もあの人工生命の最果て、怪物の咆哮が轟いているのでしょうか。

Freddie3v
こころさんのコメント
2025年11月15日

Freddie3vさん
コメントへの返信を頂き有難うございます
『 無慈悲そのもの 』、過酷ですよね。

こころ
こころさんのコメント
2025年11月14日

Freddie3vさん
ラストが切ないですよね。
氷に閉ざされたあの場所で、息を潜めて生きる悲しみ 🧊

こころ
talismanさんのコメント
2025年11月14日

不死ほど無慈悲な生はないと思いました

talisman