「善き人へ幸せを」フランケンシュタイン くーまんさんの映画レビュー(感想・評価)
善き人へ幸せを
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ギレルモ・デル・トロ監督作品は『パシフィック・リム』しか観ていない不勉強な者ですが、この監督の印象はとにかく凝り性な人だな、という事。本作も良い意味でその凝り性が発揮されていたように思います。
冒頭の氷に閉ざされた船からラストまで、自分があたかもその中に存在しているようなリアルな画面作りにずっと引き込まれていました。
愛する母を早くに亡くし生に執着するヴィクター、そのヴィクターの手で生み出されたクリーチャー、創造主とクリーチャー、憎しみと愛情が合わさった危うく複雑な関係は、美しくも何処か少女のような純粋さと残酷さを持つエリザベスの存在によってバランスを崩し、一気に不幸の道へと突き進んでいきます。
それでもクリーチャーは森に住む老人からソウルフレンドとしての愛を、エリザベスから心の空白を埋め求め合う存在としての愛を注がれたその刹那が幸せと悲しみの感情を知った時だったのでしょう。
最後は創造主を許し、一人冷たい北の国の氷の中を彷徨い続けるクリーチャーに幸あれと願わずにはいられませんでした。
この作品を配信で終わらせず劇場公開してくださったことに感謝です。
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