「残されたものが作る「来世」」終わりの鳥 よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
残されたものが作る「来世」
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A24らしい「普通」じゃない作風の映画でした。
ある母娘が死を受け入れるまでの物語です。
死とはそれぞれの人間に平等に訪れるものの、それを受け入れる時までは平等ではない。
「死」を具現化したオウムが登場しますが、彼は人々に死をもたらしているというよりは死ぬべきときが来た生物に死を与えている、と言った方がいいでしょう。
いつもは淡々と死を与えるオウムが、難病にかかり達観した15歳の少女と出会うことで少し仕事をサボり、娘の死を受け入れられない母親によって、とんでもない展開を迎えます。
ここから先の世界のオウムが消えた世界のパニック描写や残された時間が少ないことを悟った母娘の行動が秀逸。
そして最後に語られる「神はいないが来世はある」という解釈が素晴らしく、終幕の鮮やかさも印象的。
地味でシュールな作品ですが、上半期ベスト級。
映画館を入ったときより、出るときの方が元気になれる映画のひとつです。
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