「イケボの鳥」終わりの鳥 ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
イケボの鳥
死期が近づくと訪れる鳥が、ある病気の少女に舞い降りる。少女と少女の母親がこの「デス」という鳥と対峙する奇想天外なドラマ。
私自身の死生観にも近い為か、本作は腑に落ちる事の多い作品だった。人の死と残された家族の捉え方が実に冷静でわざとらしくない。声がイケボである終わりの鳥の、残酷でもなく、人情味溢れるでもない仕事人キャラクターに好感をもった。
物語の切り口は、誰しも平等に訪れる「死」だ。本作は、その「死」を冒涜することなく、そして残された者の心情も納得できるような描き方をしている。映画の中で、ある一定期間、死というものが訪れない世界が描かれている。その状態こそ「死」というものが、逆に冒涜されている世界に感じたのが印象的だった。一つ間違えると映画のエンタメ性が大きく損なわれるテーマだが、「デス」のおかげで極めてエンタメ性の高い語り口が成立している。
ポスターがヘンテコなんでポスター損をしている可能性がありますが、テンポよくじっくり鑑賞出来ます。鑑賞後は、鼻を少し広げフゥーンと深く息を吐き、映画を反芻してしまいました。
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