「Fire Bird」終わりの鳥 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Fire Bird
怒涛のA24ラッシュの2025年、そんな中でもポスターひとつで異彩を放つ今作、でっかい鳥さんが見つめているというところだけでも気になり鑑賞。
内容も死を連れてくる…とかうんとかすんとか言ってる感じでしたが、死を擬人化したというスタイルでとても斬新でした。設定は斬新でした。
ただいかんせん余白が多すぎる…
見た目ホラーでしたが中身はコメディとシリアスを反復横跳びするような感じの作品だったので、その辺もイマイチスッと飲み込めない要因になっていました。
死を宣告されたであろう主人公のチューズデイの内情がほとんど描かれないのも変にモヤモヤを抱えながら観てしまいました。
どういった病気を患っているのか、どういったものや事を好んでいるのか、どういった性格なのか、それらは全く明かされずに死が近いというだけの舞台装置と化していたのでそりゃ上手い事のめり込めんわなと勝手に納得しました。
もちろんファンタジーな世界観なのである程度の事は飲み込めるんですが、お母さんの行動だけは突飛すぎてどういう事だ?の連続でした。
鳥を食べたり、それらの余波を受けて巨大化したり小さくなったり…そもそも仕事をしていない事に関してもほとんど明かされず、チューズデイの死を受け入れたくないというだけの受け皿として利用されていたので彼女も被害者ではある(映画的に)んだろうなと思いました。
死についての映画のはずが、どこかその死すらも利用して世界観を広げにかかるのでややこしさに拍車をかけますし、特別話は難解ではないんですが、素直に見せてくれないのもあって頭を抱えてしまうシーンが大量にありました。
これで終わりだなと思ったところでちょろっとした後日談が描かれるのは全然あり派なんですが、今作は後日談がダラダラかつ長すぎるのがもうダメでした。
母親のその後は別に知りたいとは思っていなかったので正直何のエピソード?ってくらい薄かったですし、デスを出して語りたいがために追加したのかなと思うとなんだかモヤっとします。
デスのちょい緩めなキャラクターは魅力があり、デスメインの方がストーリー的にも面白くなった気がしますが、死についての新解釈という事ならばデスは進行役に置くのがベターだったのかも?という考えには落ち着きました。
この感じの作風で110分はやはり長かったですし、テーマが良いだけに勿体無さがありましたし、意味の分からない変な映画は大好物ですが、支離滅裂でやりたい事を無理くり繋げたような作品は相変わらず苦手だなと自分の映画に対してのマインドを再確認するにはちょうど良い1本だった…かもしれません。
まぁA24だし…で片付けられる、そんな作品といった方が早いかもです。
鑑賞日 4/5
鑑賞時間 18:45〜20:35
座席 I-8