「Stay awhlle」KIDDO キドー ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Stay awhlle
親子ロードムービーってええなぁと気になっていたのでちょっと遅れての鑑賞。
中々に大暴れなロードムービーで、軽犯罪しまくり、爆発もしたり、喧嘩もしたり、それでも見たことのない親子の形を観ているかのようで不思議なほっこり感のあるロードムービーになっていました。
児童養護施設に預けられているルーが、自分のことをハリウッドスターと名乗っている母親のカリーナが親子関係を再生していくって感じで、カリーナがかなーり変わってる人なので良くも悪くもそこが評価の分かれる要因になっているんだろうなと思いました。
嫌がらせ的な事は余裕でこなし、犯罪まがいの事も悪びれずにやるカリーナにちょっと引きつつもせっかくの親子の時間を楽しもうとするルーがとっても健気でした。
トラックの上に乗ってみたり、チョコまみれのケーキをベチャベチャになるまで食べてみたり、食い逃げをしたりと日常のすぐ隣の非日常を味わっているかのようでした。
花火を撒き散らしてみたり、爆発してしまったりと度が過ぎて大変なことになったりもするけれど笑い飛ばしている2人は眩しかったです。
ちょっとオンボロなアメ車で駆け回るっていうのもレトロなオシャレが詰まっていて憧れます。
ルーやカリーナのバックボーンはちょろっと回想で描かれるくらいで、ほとんどのシーンはルーとカリーナの分かりあう様子に割かれており、ロードムービーながらここまで主人公2人にフォーカスを当てるって珍しいな〜と思いました。
カリーナ自身は親になりきれなかった親という感じの立ち位置で、自分の子供との接し方が分からずに距離の詰め方を間違ってしまったりと試行錯誤している様子と強がっている様子が交錯しながら描かれるのでそこもキューっとなる部分です。
親から子へどう接するかではなく、子から親にどう接するかという逆転的な発想な進んでいくというのもこれまた面白いところでした。
2人の関係性をジェスチャーで深めていくのも面白く、タバコのジェスチャーは日常生活でも取り入れてみたいですし、なんなら帰り道にそのジェスチャーをしていたので速攻で影響を受けています。
ラストシーンも些細な変化って感じで素敵でした。
カリーナと距離を取ることを決め、児童養護施設に戻りつつもカリーナの事を忘れずに憂いているルーの元にちょっとしたサプライズ、終わり方は昭和アニメのような感じだったりと絶妙なラインをついてくるのもまた良かったです。
エフェクトだったり効果音だったりが結構目立っていたのも特徴的で、露骨すぎるところはありつつも、2人だけの共有し合ってる感情を視覚的に読み取れたのは面白かったです。
こういうロードムービーもいいよなぁとなりました。
またどこかで2人で再会してほしいなと思いつつ、このまま出会わずに過ごしていくのもまた一興かなとなりました。
鑑賞日 5/5
鑑賞時間 19:15〜20:45