劇場公開日 2025年5月2日

「弱い環 強い紐帯」6人ぼっち ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5弱い環 強い紐帯

2025年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

癒される

小学・中学・高校の修学旅行の班分けは
全てがアイウエオの順で機械的に割り振られたので
本作のようなことはなかった、と
思い出す。

そもそも、自由行動の日
なんてものが存在しなかったしな。

唯一、同じような体験をしたのは
小学校の夏のキャンプの時か。

班分けは児童に一任されたため、
クラスの人気者を中心に幾つかのグループが出来上がる。
そしてどこからもあぶれた者同士が集まって、
一つの班を形成するとゆ~。

あぶれる側だった自分のような者にとっては、
なかなかに身につまされるここでの流れ。

とはいえ本作。
三十人弱の一クラスで、これだけあぶれる生徒がいるのは、
かなり無理な設定なのでは?

オマケに主役の『野村康太』を始め、
演技がいまだしの六人で、
僅か85分の短尺でも
素直に観るにはなかなかに厳しいものがある。

「友人がいない」「空気が読めない」
「不登校」「周りを気にしない」
「ガリ勉」「気が弱く控えめ」と
六人のキャラは立っている。

昔にも、こうした生徒はいたよなぁと、
実在の何人かの顔が思い浮かぶ。

若い人にはイマイマの世相の反映かもしれぬが、
自分のような年寄りにすれば
以前からの学校生活あるある。

友人がいないことで死にたくなるのは大げさも、
誰もがなにがしかの葛藤を抱えながら過ごしている。

勿論、気さくに話せる相手が居るにこしたことはないにしろ、
その関係性は自分で思うのと相手が考えていることは
必ずしも合致するとは限らない。

最初はぎくしゃくした会話も、
互いのことを知るうちに心は通うようになり、
最後には、一種の「吊り橋効果」で
関係はより深まっていく。

この一連の流れは予定調和ではあるものの、
挟み込まれるエピソードが各人の背景を端的に現し、
巧く構成されていることには感心する。

ここでの一山を乗り越えて、
結束がより強まるとの筋立ては納得できる。

が、ハレの時の高揚感が去っても、
関係が続けられるかは課題で、
体育祭や学園祭、修学旅行でできたカップルは
別れるのも早かったとの記憶がある。

熱い思いをぶつけ合える仲間の存在は、
有難いことだと目を細めて画面を見守る。

こうした感情から縁遠くなった身には、
眩しすぎる彼等・彼女等の数日間のクロニクル。

ジュン一
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